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vol.7 高校1年生、連覇はならずも|青春駆ける ~馬術に情熱の全てを捧げた10年間の成長の足跡~

5月:感覚が狂った。前できたことが出来なくなった…

兵庫・三木にて3日連続120cmへ出場。3日とも完走はできたものの、全て2落下と微妙な成績。中3の春休みは【高く飛ばす】をテーマに練習。前向きの推進力を少しでも上へ向けるには?と考えて特訓。少なくとも練習の段階では以前より飛越の余裕度が上がった。馬の前脚が障害物に当たるか/-らないかのスレスレだった所から、ほとんどかすりもしなさそうなほど高く飛ばせられるように。しかし、競技になると通用しない。前脚を当てまい、当てまいと注意しても当ててしまって障害を落下。原因は明らか。スピードが落ちてしまっていたのです。上へ飛ばせることに意識の大半を持って行かれ、上へ飛ばせるために必要となる前への推進力を欠いていました

推進力を維持しながらも上への飛越力を高めていきたい。弾力のある力強い走りを作るにはいったい何をどうすればいいのか。YouTubeにて海外選手の動画を見たり、I先生が貸してくれた馬のDVDをヒントに技術を模索したりしました。毎週のように試行錯誤し最適解を模索するも、上手くいく方法が分からずじまいでアタマは混乱するばかり。これまであった良い感覚さえどこかへ失してしまいました前できたことが出来なくなってどんどん調子を落としていきます

 

7月:I先生不在の国体予選で酷い出来。本戦出場権を辛くもGET

二度目の国体予選 (以下、ブロック) を絶不調にて迎えます。走る前から上手くいく気が全くせず、(馬のためにも出ない方がいいんじゃないか) と本気で思っていたほど。このブロック、良くない条件が更に二つ重なりました。

  1. ブロックの会場:中2のとき同一大会で5失権した縁起の悪い競技場だった点
  2. I先生の不在:私のブロックとちょうど同じ日に四国地区のブロックもあり、I先生がソチラヘ出るため私のブロックに帯同できなかった

最悪も最悪、超最悪なコンディションで臨まざるを得ませんでした。

案の定、ブロックでの成績は過去にないほど酷い出来。出場したすべての種目でスプラッシュのおかげで完走こそすれ、二段階障害飛越競技で二段階目に進めなかった、スピードを競う競技なのにゆっくり走って順位を落としたなど、ミスにミスを重ね続けて惨憺たる有様でした。競技を終えた一日目の夜、I先生から電話がかかってきました。「どうやった?ちゃんと勝ったか?」と。「すみません、ダメでした…」と絞り出すので精一杯。「完走はちゃんとしましたけれども”完走した”というだけの結果でした」、と。I先生、「完走したならいい。本戦は頑張れ」とエールを送って下さりました。

そう、ブロックは失権さえしなけりゃ最低限OKなんです。予選の順位が高ければ高いほど多く出場枠を貰えますが、勝てなくても最低限の出場枠だけはいただけます。コレが失権となれば貰える出場枠は著しく減る。自分に限らず他の乗馬クラブの選手にも迷惑をかけることに。大会後、帰りの馬運車の中で”完走できてホントに良かった…”と深いため息をつきました。”最低限、ホンマに最低限だけれども、結果を出せて良かったな…”と。

高1で出場したブロックでは、他の乗馬クラブの方に馬を競技場まで運んでいただきました。運送して下さったSさん、本当にありがとうございました

 

8月:練習に全く集中できない。(コレも青春か…)と開き直る

ブロックでの失敗を本戦で挽回すべく夏休みの猛特訓を誓います。夏休み前半は昨年と同様、一日8頭近く馬に乗るなど過酷な練習を行っていました。しかし後半、私の心は大きく揺らいでしまいました。なんとあのAちゃんもMRCへ頻繁に来るようになったのです。昨年、まるで修行僧のように猛烈に練習できていたのは、視線を奪われるほど魅力に映る女子が周囲にいなかったから。純粋に乗馬とがっぷり四つを組んで技術向上を図れたのです。ところがどっこい、今年はとびきり可愛く、気になる女子が視界に入る。”気にしちゃダメだ。集中しよう”といくら思っても彼女を目が勝手に追いかけます。集中力が散漫になると練習に身が入らなくなる。スプラッシュとの障害練習は問題なくクリアできていたものの (←Aちゃんが来る前の早朝にやっていたから)、MRCの会有馬に乗っての練習のクオリティーが極端に落ちてしまいました (←Aちゃんが来て練習どころじゃなかったから)。

ココで私、開き直ります。『集中できないものは仕方ないじゃないか』と気が散る自分を認めたのです。集中するためAちゃんに対して不愛想に接するなど私にはできない。ならば集中できる範囲で練習をしつつも青春を謳歌してやろうじゃないか、と。一度きりの青春時代に練習だけやるのはもったいない。すぐ近くに可愛い女子がいても話さえしないのは何かが変だ。心の壁を取っ払い、Aちゃんと仲良くすることに。灰色だった我が生活が華やいだ待望の瞬間であります。Aちゃんと仲良しの女の子とも仲良くさせてもらいました。練習の合間や練習終わりにクラブハウス内にて他愛もない会話。いつぞやの日曜、夜にMRCにて花火をしました。Aちゃんと並んで散らした線香花火は眼裏に一生焼き付いたままでしょう。

練習時間は昨年の半分。技術の伸びが昨年と比べて著しく停滞している自覚はあった。5月以降の絶不調からは徐々に脱しつつありました。たまにI先生から褒められるほどの良い練習ができたことも。でも技術の上積みはほとんどない。昨年の自分とほぼ変わりがない。いや、アレコレ考えず障害を飛べた昨年の方が感覚はいい。果たして連覇できるだろうか?おそらく厳しいだろう…と思いました。では一体どうすれば少しでも上の成績を取れるだろうか。筋トレ?ランニング?イメージトレーニング?…四の五の言わず全部やってから悩もう。

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