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vol.7 高校1年生、連覇はならずも|青春駆ける ~馬術に情熱の全てを捧げた10年間の成長の足跡~

4月:乗馬クラブの花見で”あの子”と腕相撲

4月初旬、MRCの近くにある岩倉温泉の河川敷でクラブのお花見イベントに。昨年はイベント当日に大雨が降ってクラブハウスでのBBQとなり、現地での花見は2年ぶりとあって大勢の会員さんが参加していらっしゃいました。この河川敷からの桜並木🌸がすっごく綺麗なんですよね。桃色に染まったソメイヨシノが美を競うように咲き誇り、花見客の視覚や嗅覚を大満足させてくれます。私が桜を大好きになった原点はおそらくココなんじゃないかな?ほんのりと柔らかな陽気のもとで地面に座って桜を見、(あぁ、綺麗だなぁ…)と頬を緩めて春の到来を喜ぶのです。

I先生や馬主のMさん、それにその他の会員さんらと飯を食べる。たまに冗談で「飲め!」と渡されたビールは苦くて吐きそうなほど臭い。私、まだ15歳です…。四捨五入したら20歳になるんだけれども、飲酒禁止法に算数の小細工は一切通用しないでしょう。ただでさえ心躍るお花見イベント。そこになんと、”あの子”がいました。「”あの子”って誰だ」って?”あの子”ですよ、”あの子”。先月、私に「カッコいいです」と最高の笑顔で言ってくれた”あの子”。”あの子”、MRCの他のちびっ子らと話で盛り上がっています。たまにピョンピョン跳ねてそこら中を駆け回って無邪気に喜びを表現している。 (やっぱ可愛いなぁ…)と椅子に座って横顔をボーっと眺めていた。お生憎様、その様子をI先生に見つかってしまいました。

I先生
お前、何ボーっとしとるん?
かめ
えっ?桜を見ていました
I先生
桜はアッチじゃろ。コッチには何も咲いとらんやろ
かめ
あっ… (しまった、ウッカリしてた…)
I先生
何を見とったん?
かめ
はぁ。まぁ……
I先生
お前…もしかしてAちゃん (註:”あの子”のこと)見とった?
かめ
いや、見てないっす
I先生
いや、見とったやろ
かめ
いや、見てないっす
I先生
隠さんでもエェて。見とったんやろ?
かめ
いや、見てないっす… (どうしよ、なんも言い訳が思いつかん…!!!)
I先生
誰にも言わんけぇ言ってみ。見とったんやろ?
かめ
…はい
I先生
Aちゃ~ん、ちょっと来てー!

「はーい」

かめ
ちょちょちょちょちょ、ちょっと!
I先生
はい、後は頑張れよ👍
かめ
うぅぅぅぅ… (頑張れよじゃないですよ、Aちゃんと何を話せっていうんですか…)

と、I先生による獅子奮迅のご活躍でAちゃんと引き合わされました。

悲しきかな、男子校生。女子と何を話していいやらサッパリ分からないんですね。相手がたとえどれだけ可愛かろうが一切関係ありません。むしろ、可愛ければ可愛いほど口が動かずモゾモゾとしてばかりいます。普段男とばかりワチャワチャ騒いでいるせいで、女子と共通のテーマを見つけて話す力が著しく低い。私の場合、加えて口下手と来ております。Aちゃんを前にして言葉が出てこずひたすら下をうつむいてばかり。

1分ぐらい黙ってその場に突っ立っていると、I先生から「お前、つまらん奴やのぉ」と呆れられてしまいます。Aちゃんのことをあまりに何も知らなさ過ぎて、逆にAちゃんへ何を聞いていいやら見当を付けられなかったのです。Aちゃん、”どうして私、呼ばれたんだろう…”と言わんばかりにキョトンとしていた。I先生、「ほらAちゃん困っとるぞ。お前、なんとかしろ」といつもの無茶ぶりで困らせてくる。さらに30秒、何も言えずうつむいていると、何を思ったかI先生、唐突に「お前、Aちゃんと腕相撲しろ」と言い出しました。私も腕相撲だったらできる。女子と会話するより腕を動かすほうが何倍楽だか知れません。

近くの岩にタオルを敷いてAちゃんと早速腕相撲を開始。まずは右手でやったのですが、なんと負けてしまいました!Aちゃん、テニスをやっていうおかげでパワーがかなりあるみたい。「アタシ、左利きなんですけどね」と言われた時のショックたるや、想像を絶する。国体チャンピオンの誇りを守護すべく左手での勝負は負けられません。腕をまくって本気を出し、地面から両足が浮き上がるほど体重を乗せて辛うじて勝利。腕相撲を見ていたI先生らから「そりゃズルいよ~笑」「もう一回やれ笑!」との猛烈なツッコミ。「いや、勝負は勝負ですから」と左手で勝った結果を墨守すべく本気で抗弁。

勝負を終え、周りが落ち着いた頃、Aちゃんに「さっきはごめんね」と謝りに。優しいAちゃん、「気にしないでください!右手で手加減してくれてありがとうございました!」と言ってくれた。いやいや、実は全く手加減していないんですけどね笑。Aちゃん、強すぎ。綱引きでもしようものなら多分負けてしまうでしょう。その流れでAちゃんと2人でほんの少しだけ話をしました。『一つ年下』、『乗馬を始めたのはつい最近』など、断片的ながらほんの少しだけAちゃんのことが分かってハッピー。お花見での腕相撲を機に、これ以降、MRCでAちゃんと会うたび数言話すように。キッカケを作ってくれたI先生には感謝しなくちゃいけません (もうちょっと優しいやり方で引き合わせてくれれば良かったですが…)。

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