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#16 沖縄100Kウルトラマラソン2024への道 「休息』に関するコラム

↑スコットランド・エディンバラ観光の際に撮影↑

#15 沖縄100Kウルトラマラソン2024への道 『プラス思考』に関するコラム

2023-11-05

こんにちは!馬術競技から陸上競技に転向した、100km自己ベスト9時間1分の現役北大理系大学院生かめ (D1)です。 2024年12月スタートの沖縄100Kウルトラマラソンへ向けて練習しており、記事を書きながら日々の練習内容を振り返ることにしています。

先日は『プラス思考』について考えました。今日は『休息』についてのお話です。

 

たとえば中学・高校生の頃、「明日は休みだ」と学校で言われた時、多くの方は「やったー!」と大喜びしていたと思います。「やったー、遊べる!!遊ぶ時間をくれてありがとう!」といった趣旨の喜びです。私自身もそうでした。誰よりも強く喜びを表明。学校なんて大嫌い。座っているだけで虐められるからなるべく行きたくなかったほどですし。それに私は中学生当時、PSP (プレイステーションポータブル) というゲーム機で一日5時間ほど遊んでいました。やっていたのは野球とモンハン。どこまでも極められるスタイルが自分にピッタリだったんですね。

中学時代に死ぬほどゲームをやった反動か、高校からは一切ゲームをやりませんでした。”もう一生分ゲームをしたからこれ以上やらなくてもいいだろう”と。すると「休みだ」と言われた時のリアクションさえ変わります。以前は「やったー、”遊べる”!」だったのが「やったー、”勉強できる!”」と真面目キャラに激変したのです。

ゲームに最も打ち込んでいた中一時代、学校のテストで成績が260位/270人でした。ゲームに飽きてきた中二の12月ごろ、少し勉強時間を増やしただけで21位/270人までジャンプアップ。成績が上がると勉強が楽しくなる。中三では自主的に一日2~3時間の家庭学習時間を設けるようになって15位/270人までさらに上昇。やればやるほど順位が上がる点にある種の『ゲーム性』を見出したのです。勉強がゲームになってしまえば今度は勉強にドはまりしちゃう。一日5時間ゲームしていた人間が一日5時間勉強し始めました。高校生になった頃には勉強が大好きになっていたのです。授業は嫌い。自主勉強が好き。ということで、「休みだよ」と言われたら (やった。コレで自分の好きな勉強を家で思う存分楽しめるぞ♪)と喜んでいたわけです。

休みの日も乗馬練習の前後にガッツリ勉強し始めるようになりました。そうしたら気付いてしまいました、【人が休んでいるとき勉強すれば周囲とカンタンに差を付けられるんだなぁ】と。ウチの高校、自称進学校なので、平日数時間勉強するのは基本的には当たり前です。ではどこで差が付くかと言ったら週末。週末にも必死に勉強するヤツが学年上位に食い込んでいます。塾に通っているか/いないかはほとんど関係ありません。むしろ、私を含め、学年トップ10に入る人間の大半は塾に通っていませんでした。自分で自分を律して少しでも長く・効率的に自主勉強するタイプが強い。インプット後のアウトプットの質と量で順位に差が付くのは至極当然であります。

一浪のすえに受験を突破し、晴れて大学生になりました。大学でも基本的には人が休んでいる時にこそ努力を重ねて着実に差をつけていくスタイル。土日関係なく毎日最低2時間勉強。部活やサークルに入りそびれた分、膨大な時間を勉強に捧げて自主勉強に取り組んだのです。自分で言うのもアレなのですが『クソ真面目』だったと思います。典型的なガリ勉タイプ。チェックシャツは着なかったけれども。

学部生活を経て大学院生に。ここまで10年以上も休まず勉強し続けてきて流石に心が疲れてきました。少し肩の力を抜いて深呼吸して背筋を伸ばしてリラックス。”あぁ、気持ちが良いな…”と快楽に浸っていると、また気付いてしまいました。休んでいるとき頑張れば周囲とカンタンに差を付けられるのは事実。逆に、自分が休むと”休んでいるときに働く人”と簡単に差を付けられてしまうのも真実。私のように後先考えずに突っ走る人間を稀に見かけます。そういう人間と競争したとき、本来休んで構わない日に休んだだけで後れを取るのです。私の属する研究の世界は土日も働くタイプが多い。そんな人の中で勝ち抜くためには休んでなんていられない。逆に、休んだが最後、あっという間に差を付けられて追い越せなくなる。そう気づいて以来、1時間程度の小休憩さえまともに取られなくなったのです。

休みが必要なのは分かっています。人間は機械でもAIでもないので働きずくめでは体を壊しますし。ただね、”休まなきゃいけない”と分かっていても簡単には休めないのです。差をつけられるのが怖いから、どこか他のグループに研究で先を越されたら絶望するから。研究の世界では如何なる知見でも第一発見者が一番エライ。第二、第三発見者になったとしても「二番煎じだね」と軽く受け流される。学術論文として掲載されるのは第一発見者の成果のみ。運悪く第一発見者と全く同じ実験をしてしまっていたら、たとえこれまでどれだけ頑張って実験をしたとしても学術雑誌に論文が載りません。そう、この世界ではスピードが命なのです。各人が発揮しうる最大速度で競い合い、つばぜり合いを演じた末の勝者が成果を総取りしていく。

皆さんも想像してみて下さい。自分が少しでも手を止めるとたちまち他の人に命を取られる状況を。休めますか?…休めないですよね。休むより働いている時の方が楽。休むと罪悪感に苛まれてしまってむしろ心が休まりません。心置きなく休めていたのは大学三年次の春休みが最後。四年次進学時、研究室に所属してから休む暇もなくなりました。私を取り巻く今の環境で果たしてどうすれば休めるでしょうか。仕事へ手を抜きいい加減に済まして良いのなら構わず休めそう。しかし、怠けてしっぺ返しを食らうの、他でもない、この私なんですよ。誰かに追い越されて一層苦しい思いを味わうことになるのは私。

…ならば休まない方がいい。だって苦しい思いはしたくないものでも休みたい、早く休みたい。競争から降りて楽になりたい。絶え間ない競争に追い立てられて頭がおかしくなってしまいそうだ (もともと少しおかしいけれども)。一刻も早く大学を出たい。企業に入って新鮮で爽やかな娑婆の空気を思い切り吸い込みたい。大企業では土日は休”まなくてはならない”らしい。羨ましい。自分もそんな極楽浄土に早く往生したい。お金をもらって堂々と休める「有給休暇」なるものがあると聞いた。…信じられない。本気で言っているのか笑?大学ではお金を”払って”年中無休で勤務しているというのに。

 

人間には日々、一定時間の休息が必要不可欠です。手を止め休んで回復しなくちゃ体がたちまち摩耗します。休むのがいくら苦手だとしても、長生きしたけりゃ絶対に休まなくちゃなりません。休みは心の栄養分。モノを食べるだけが栄養摂取ではないのです。栄養摂取さえできない環境にはなるべく早く別れを告げねば。倒れる前に企業へ入って落ち着きを取り戻したいと思います。

『休息』についてのコラムは以上。来週は『過去の栄光の使い方』について述べます。

#17 沖縄100Kウルトラマラソン2024への道 『過去の栄光の使い方』に関するコラム

2023-11-19

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