質問その2:10年間乗馬をやってきて良かったこと・辛かったことは?
- 頑張ることの素晴らしさを知られた
- 全国の頂からの景色を見られた
- 周囲の人間による支えの有難みを知った
この3つになります
乗馬を始めたのは小学校でのいじめがキッカケです。太り気味の体型を周りから揶揄され、塞ぎこみがち、家に閉じこもりがちだった私を母が乗馬クラブへ連れて行ってくれました。私は生まれつき太っていました。持って生まれたモノをからかわれたので、 (自分なんて頑張っても何をやってもダメなんだ…)とネガティヴな思考パターンをとる事が大変多かった。けれども乗馬を始めてみて、どんどん上達していく自分がいました。センスは多少はあったのだろうと思います。(馬にもっと上手に乗れるようになりたい!!!)と乗馬だけはなぜか頑張れました。小学生の頃って吸収力が凄く高い。何事からも貪欲に吸収し、昨日よりも今日、今日よりも明日の自分は退化することなく進歩している
私の場合、3位の表彰を受けた後に1位の表彰を受けました。3位の台に立った時は、隣に立つ宮崎の1位の選手を見て (なんか僕、低い所に立っているな…)と全く気分が上がらなかった。1位の場所に立ってみたら心持ちが全然違いました。”うわー。自分、すごい所に立っちゃったなー!!!”と思わず鳥肌が立ったほどです。あの場所での味を占めたら他の順位では全く物足らなくなります。勝ちにこだわる強い気持ちが自然と芽生えてくるのです
最後に③の解説、よろしくお願いします
- 頑張れども頑張れども成果が出ない日々が続いた
- ”勝ち”にこだわりすぎて乗馬を楽しむのを忘れたことも
この2つが特に辛かったですね
乗馬の練習は体力的にすごく辛かったです。朝から晩まで馬に乗って毎日ヘトヘトになりました。指の間にタコができる、お尻の皮が剥げるなど、乗馬の猛練習による体へのダメージは尋常ではないものがありました
それよりもっと重症なのがメンタル方向へのダメージです。 (頑張れども頑張れども上手くいかない。どうやったらいいんだ?) と悩む時間が本当に辛かったですね。例えば私が中2のころ、一つの大会で6走行中5回も失権 (走行途中に走行の権利を失うこと)してしまったことがありました。自分の走りを見失ってドツボにハマっていたのです[青春駆ける 中2編]。その大会以降も失敗続き。競技へ出れば出るほど失敗の量が積み重なっていく。長いトンネルを潜り抜けるのに1年近く要しました。試行錯誤の末に上手くいく方法を見つけてようやく成功への道が開けてきたのです
乗馬は馬との力勝負ではありません。力だと相手は一馬力ですからあっさり負けてしまいます。馬のパワーを使いこなすには高度な技術が求められます。それは大変感覚的なもので、人から言われて”あぁ、こうすれば良いんだな♪”とすんなり会得できるモノじゃありません。人それぞれ体格が違うので人それぞれに合った技術が必要となります。上手くいく方法を自分で一つずつ泥臭く試していくのが唯一の道です
中2までは”もっと、もっと上手くなりたい!”と無邪気に練習していられました。ところが中3にて国体で勝ち、勝利の味を知ってしまった。すると考えがガラッと変わる。”また勝ちたい。あの場所に立ちたい…!!!”と執念深くなったのです。乗馬を楽しむ余裕が少しずつなくなっていくのが分かりました。”楽しんでいる場合じゃない。このままじゃ優勝できない”と常に切迫感があったのです