994 ビュー

最終話 大学生、青春駆ける|青春駆ける ~馬術に情熱の全てを捧げた10年間の成長の足跡~

大2・6月:馬術部を退部。ランナーへ転向

競技に出たくない自分がいる。
でも競技に出なきゃ部活が保たない。
”競技に出ない”という選択肢はない。
4年生になれば嫌でも出なけりゃいけない。
同期や後輩がどんどん辞める。
それに伴い負担が増える。
最初は楽しかった馬術部の日々。
今やズッシリとした心の重荷に。
このままじゃ部活が大嫌いになる。
我慢していたら乗馬まで嫌いに。
それだけは何としても避けなきゃいけない。
自分にとって乗馬は財産。
だったら取れる選択肢は一つ。
取るべきは、

取るべきは……

 

 

大学2年次の6/30、練習前に馬術部を退部。9か月の部活生活にピリオドを打ちました。乗馬だけはどうしても嫌いになりたくなかった。青春の全てを捧げたかけがえのない時間を最後に汚したくなかったのです。乗馬を嫌いにならないための退部。こんな理由で辞める人など本当にごく僅かだろうし、部活の先輩方に悪い所は何一つありません。

私が馬術部を退部する未来は入部した時点でほぼ確定でした。部活自体の仕組み上、遅かれ早かれそうなるのが明らか。これまで競技へ出てきた人が年次を経るにつれ引退する。すると、私の手元へいつか必ず競技へ出る順番が回ってくる。それでも入部を決断したのは、『競技へ出たくない』という頑なな思いが部活中にほぐれると見込んでいたから。その見通しが甘かった。まさかここまで頑健だとは予想だにしていませんでした。

7/1、馬術選手からマラソンランナーへ転向。これまで趣味として続けてきていたランニングを本格的にやってみることに。生きるためには駆けなきゃ、駆け続けなきゃいけない。歩みを止めたが最後、情熱の源を失い、朽ち果てるだろう。馬から脚に手段は変われどやるべきことは変わらない。【全力で走って最善を尽くす】ただそれだけの為に毎日生きる。目標はマラソン3時間切り (サブスリー)。自分には不相応な目標に思われるも、大2・11月に初マラソン3時間10分、大3・11月には2時間59分とサブスリー達成。大学院修士1年時には2時間47分までタイムを伸ばした。その翌年には100kmを9時間1分でフィニッシュできた。

 

一つ、大きな目標ができた

馬と創った青春の日々の思い出の続きをランニングで描く。もしも足が壊れて走れなくなったら別の手段で意地でも駆ける。しかしランニングは乗馬を再開するまでの繋ぎ。いつか必ずまた乗馬をやるための情熱の燃やし場としての位置づけに過ぎない。結局、自分には乗馬しかないと強く強く自覚している。乗馬でも超一流の世界には至らないかもしれないけれども、”またチャレンジしたい、諦めたくない”との情熱のうねりが時が経つにつれ加速する一方。

馬から5年離れてみて、また競技へ出たくなってきました。YouTubeで国体や全日本の動画を見ていて (いいなぁ。自分も出たいなぁ…) と背中がむず痒くなってきたのです。そこで一つ、目標ができました。もう一度国体のダービーへ挑戦したい。今度は成年男子のカテゴリー。出場選手もプロばかり。表彰台へ立つのだけでも一筋縄にはいかないでしょう。入賞、あわよくば優勝をしたい。少年時代に果たせなかったダービー優勝を成し遂げたい。自分のお金で馬を買う。自分で用意した正装を着る。自分で買った車で会場へ行く。隣には自分で見つけたパートナーを乗せて。

バカげた夢だと思われたかもしれない。「何言ってんだ、現実を見ろ」と仰る方もいることでしょう。しかし私は本気です。ダービーで勝ちたい。勝つまで死んでも死にきれない。逆に勝ったらその場で死んでもいい。命に代えてでもタイトルが欲しい。少年時代、毎年ダービーで失敗をするたび成長して自分の糧としてきました。ダービーはいわば自分の恩師として身をもって勝負の厳しさを教えてくれたのです。今度は私がダービーへ恩返しする番。スプラッシュでもYくんでも出来なかったダービー優勝を果たすため、情熱の灯を決して絶やさずこれからの日々を生き抜いていきます。

 

青春、駆ける。

挑戦はまだ始まったばかり

 

キャスト

  • かめ:自分
  • Aちゃん:人生初の女友達。のち彼女に。今まで出会った女性の中でダントツで笑顔が素敵な人
  • I先生:MRC乗馬クラブ時代の大恩師。厳しく、時々優しく私を育てて下さった方。今も第一線でご活躍中
  • Mさん:スプラッシュの馬主さん。失敗してヘマばかりやらかす私を温かく見守って下さった方
  • Sさん:乗馬クラブの先生。高校生活最後の国体を全力でサポートして下さった方。いじりがすごい
  • Nさん:国体の山口県チームの方。私が東京国体で一目惚れ。翌年、一目惚れしたのを本人の前でSさんに大声でバラされた
  • Yちゃん:中3~高2の国体で一緒に団体戦へ出てくれた相方。長崎国体ではワサビの塊を食べさせてしまって御免なさい
  • 父&母:両親。いつもありがとうございます

 

  • デルタ:青鹿毛のおじいちゃん。とにかく賢い。障害飛越の楽しさを教えてくれた馬
  • ディートリッヒ:葦毛のギャル。小回りが上手。競技で走る&勝つ面白さを教えてくれた馬
  • スプラッシュ:鹿毛のお姉さん。とってもタフで足の速い子。お世話になりっぱなしで頭が上がらない
  • オーロラ:栗毛のクソガキ。飛越能力はピカイチ。気難しい君で練習したおかげでスプラッシュを上手く乗れるようになったよ
  • Yくん:栗毛の大きなお兄ちゃん。パワーが凄い。国体挑戦最後の一年に大変お世話になった馬。気持ち良く走らせてあげられなくてごめんね…

 

~『青春駆ける』完成記念 インタビュー記事を明日9/1 午前0時に投稿します~

【インタビュー】乗馬体験記・青春駆ける特別編|記事群作成に至った経緯や見どころ、オススメシーンなど

2023-09-01

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA