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vol.1 小学4年生、乗馬を始める|青春駆ける ~馬術に情熱の全てを捧げた10年間の成長の足跡~

5月:乗馬を始める

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MRC乗馬クラブ広島 | 子連れのおでかけ・子どもの遊び場探しならコモリブ (comolib.com)

学校でいじめを受けている事実を3月までは親に隠せた。しかし4月、いじめが苛烈になってとうとう隠し通せなくなりました。ある日、学校から家に帰るや否や、堪えきれず大声で泣き出してしまったんです。コレには家にいた母親もビックリ仰天。「どしたん?何があったん?」と事情聴取が始まりました。親になるべく心配を掛けたくなかったから黙っていようと思いました。でもあまりに辛く、胸がいっぱいで、これまで学校で起こったことを洗いざらい吐き出すことに。どうやら私の母親も過去に学校でいじめられた経験があるみたい。「アタシも昔は辛かったなぁ…」と親の過去も聞かせてもらった。

ちょうどその折、ゴールデンウィーク (GW)で学校が一週間ほどお休みに。学校のことを忘却の彼方へギュギュっと押しやり足で踏みつけ、家や川べりでのびのび過ごしてストレス発散に努められる日々。これまで我々3人家族は毎年、GWにどこかへ日帰り旅行していました。秋芳洞、境港、しまなみ海道に角島大橋など、中国地方の各地へ車で行って連休を楽しんでいたのです。(今年はどこへ行こうかな..)とひとり黙想していると、急に母親が「乗馬行ってみない?」と斜め上の提案を。「ジョ、ジョ、ジョウバ…?」と当然のリアクション。事態をのみ込めなかったのです。当時、”ウマ”と聞けば競馬のような爆速で駆けるものしか知りません。だから「あんな速いの怖いわ。自分に出来るわけないやん」と返事しました。すると母親は「あんな速いものとちゃうよ。乗馬言うたらもっとゆっくりトコトコ走るものなんよ」と教えてくれた。(それなら出来るかもな)と妙に合点し、「じゃあやってみたい!」とチャレンジしてみることに

もしココで「やめておくよ」とネガティヴな返事していたならば、後に国体優勝したり彼女を作ったりするなどおそらく叶わなかったでしょう。人生、ふとした出来事で激変するから本当に面白くて怖いモノですね…

 

GWのある日、広島・廿日市の山奥にある乗馬クラブ[MRC乗馬クラブ広島, 以下MRC]へ行きました。母親と私、そして父親の3人で体験乗馬をやったのです。MRCへ着くと、都会では嗅いだことのない馬の匂いが充満していた。馬房の窓から何頭か馬が顔を出してコッチを見ていた。最初は(臭いなぁ)と思いました。しかし、すぐに鼻が慣れて何も問題なく過ごせるように。

クラブハウスで申し込みを済ませ、それから簡単な乗馬ビデオを見せられました。”ウマへどう触ったらいいか”や”馬上でどうやってバランスを取るか”など、馬へ騎乗する前に必要となる最低限の予備知識をインプット。その後、ヘルメットやブーツなどで馬に乗る装備を固め、馬とふれあう時間となった。自分の何倍も大きな動物を前にガチガチに緊張するも、スタッフさんから「優しく触ってあげると馬も喜びますよ^ ^」と言われて深呼吸し顔を撫でた。すると、馬が本当に気持ち良さそうな顔でジーっとしているのです。(可愛いなぁ…)と緊張がほどけてスッカリ馬の虜になった。馬の横に脚立をセットし、せーの!でまたがり馬の上。目線が一気に1m以上も高くなって別世界のよう。スタッフさんの合図で馬が歩くと馬上は一気に不安定に。しかし不思議と怖さは感じず、むしろ楽しいとさえ思えたほど。馬がパカパカ歩く様子を専門用語で『常歩 (なみあし)』といいます。少し早く走ると『速歩 (はやあし)』、普通に走ると『駆歩 (かけあし)』になる。体験乗馬でやったのは速歩まで。初回でいきなり駆歩までやったらバランスを取れず落馬しちゃうから。隣の区画では駆歩でビュンビュンと障害物を飛び越えるカッコいい人たち。(自分もいつかあぁなれたらいいなぁ…)と憧れた瞬間でした。

家に帰り母親から「どうだった?」と感想を聞かれました。「めちゃくちゃ楽しかった、またやりたいっ!」とコンコルドも顔負けの速さで回答。どうやら母もまたやりたかったらしく、GW明け、2回目の体験乗馬へ行くことに。父親は「腰が痛いけぇ行かんわ」と家での体の保養を選択。2回目は1回目より上手く乗りこなすことができた。バランスをとるコツを早くも抑えて楽々速歩をクリアしました。するとスタッフさん、悪ふざけで私に「駆歩やってみよっか♪」と言い出します。ソレに私は「はいっ、やってみたいです!」とついつい悪ノリしてしまいました。後にクラブ会員になって分かったのですが、通常、駆歩をやるのは騎乗回数が20~30回を過ぎてからみたい。ひと桁回数、まして体験乗馬で駆歩をやるのは何かがおかしい。そんな事とは露知らず、私の乗る馬がスタッフさんの合図で駆歩モードに入りました。速歩と別次元の馬上での揺さぶりに振り落とされそうになるのを我慢。1分ほど駆歩に耐え、ヘロヘロになって乗馬を終了。さすがに駆歩は怖かった。(落ちるかも…!!)と鬼の形相で鞍へしがみつくので精一杯だった。

しかし2回目の体験乗馬を終えた10分後から妙な充実感に包まれました。周りのスタッフさんから「体験乗馬で駆歩なんてすごいなぁ~」と持ち上げられ気を良くしたせいでしょうか、(もしかして自分には乗馬の才能があるかもしれない…)と本気で信じ込み始めたのです。今まで何をやってもダメだった。水泳に空手、英語に音楽など、親にやらせてもらった数々の営みで総じて一年やっても芽が出なかった。ところが乗馬は事情が違う。才能の萌芽する明るい兆しが2回目にして早くも見え始めたのです。幼いなりに覚悟を決めた。【人生を賭けるならコレしかない】と本気で挑戦する気持ちを持った。MRCからの帰り道、母親に「乗馬をやりたい」と伝えました。すると母親、「アタシもやりたい」と返しました。その翌週、MRCへ親子の入会手続きに。乗馬少年かめ、ここに誕生というワケです。

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