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前回までのあらすじ
私は広島の小学4年生。太り気味の体型へのいじめに苦しむ日々から抜け出すきっかけとして乗馬と出会いました。最初は緊張しながらも、馬と触れ合ううちに心地よさを感じる。次第に乗馬へ興味を抱くようになります。ビギナー、初級クラスでのトレーニングを経て、通常の倍以上の速度であっという間に中級クラスへ昇格。乗馬の腕前をメキメキと上達させていきます。【人生を賭けるならコレしかない】と早くも覚悟が生まれました。生まれ持った才能が開花し、次第に乗馬への情熱が芽生えていきます……
私が情熱の全てを捧げた10年間の乗馬生活について、『青春駆ける』と称して記事を執筆しております。本記事ではシリーズ第二巻・小学5年次における乗馬生活の一年間について書きます。




5月:乗馬がどんどん好きになる♪



4年生のゴールデンウィークに出会った乗馬は始めてからおよそ1年が経過。やればやるほど上達するからどんどん乗馬にのめり込んだ。(あぁ、楽しいなぁ…)と心の底から乗馬を愛してやまなかった。馬が可愛いのは当然ながら、馬を思い通り動かせることが妙に嬉しかったのです。馬は騎手を信頼できなかったらナメて指示を無視してくるし、一馬力の怪力でもって騎手を地面に叩き落します。そんな馬に信頼して貰え、ビュンビュン走らせられるのだから、
- ウマとちゃんとコミュニケーションできているんだ!
- 自分の言うことを聴いてもらえた!分かってもらえた!
と乗るたび達成感を覚えたのです。
自分で言うのもアレなのですが、おそらく私には少なからず乗馬のセンスがあったのだろうと思います。音や刺激に人並み外れて敏感なため、馬へ出す指示の強さや馬上での微妙な姿勢のバランスを修正するのに長けていたのです。その敏感さは学校生活では仇となった。いじめっ子に何か言われたらすぐに泣き出し、付け込まれる隙となっていたから。しかし、乗馬ではソレが仇どころか最大の長所となりました。スタッフさんから指摘されたポイントを瞬時に修正して改善につなげ、メキメキと腕を上げる動力源として10年間ずっと役に立った。記憶力が高かったのも早く上達した理由の一つ。乗馬では気を付けなきゃいけないポイントが無数にあり、それらをどれだけ取りこぼさず注意し続けられるかがかなり重要となってきます。その点、記憶力が高いと、次から次へと (コレを注意しなきゃな)とポイントを思い出していける。やがて意識せずとも己の手足が無意識に動き、重要なポイントを抜けることなくおおよそカバーできるようになります。
上手くなるのが早ければ早いほど子供は対象に熱中していく。まして、自分の特性とマッチしていたなら熱中の度合いは狂気のレベルに。小5あたりから明けても暮れても乗馬のことを考えるように。週末の乗馬クラブでは言わずもがな、平日の小学校や夕方の学習塾での授業中にもウマについて終始妄想。 (前に受けたレッスンであぁすればよかったなぁ…)とか、(次はこうやってみれば上手く行くんじゃないか?)とかいった技術面の妄想が多かった形。当時、人間の女子に対してあまり関心はありませんから、純粋に馬術だけに対してきちんと向き合えていた印象。小4から始まった学校でのいじめは小5・小6と卒業まで続いた。学校へ通うのは正直結構イヤだったものの、心が乗馬クラブにあったおかげでいじめられてもあまり気にならなかった。私の居場所は学校じゃない。家と乗馬クラブの2か所であります。私の居場所が学校にしかなければおそらく大変辛かったでしょう。他にも心の拠り所を作ってくれた両親には深く感謝しています。



