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前回までのあらすじ
やればやるほど好きになる。今までやったどんなモノより乗馬が一番楽しく感じる。乗馬にどハマりした私は明けても暮れても乗馬のことを考えるように。乗馬だけが自分の生き甲斐。自分の居場所は乗馬クラブだけ。I先生の鬼レッスンにより乗馬2年目にして120cmを飛越。練習がどれだけ厳しかろうと勉強よりは何倍も楽しい。中学受験に向け行い始めた受験勉強が本格化。平日の塾で貯めたストレスを乗馬クラブで晴らす日々……
私が情熱の全てを捧げた10年間の乗馬生活について、『青春駆ける』と称して記事を執筆しております。
先日の第二巻では小学5年生の一年間について振り返りました。本記事ではシリーズ第三巻・小学6年次における乗馬生活の一年間について書きます。



4月:スーパーホース ・デルタとの出会い
註:写真はデルタではなくフリー素材です。
私が障害飛越を得意になったのはある”スーパーホース”との出会いによるもの。その名はデルタ。青鹿毛で顔に白い模様がついたとってもチャーミングなオスのお馬さん。出会った当時、デルタは15~18歳だった記憶が。馬の年齢を4倍すればおおよそ人の年齢に換算されるため、ヒト年齢では60代・70代の『老年のおじいちゃん』ということに。このお馬さん、ただのおじいちゃんではありません。若い馬にも決して負けずに動き回れるおじいちゃん。豊富に有したスタミナに加えて頭がめちゃくちゃ賢かった。私が馬上にまたがっている時、私が次に出そうとしている合図を察知し先に動き出しちゃうほど。おそらく私の代わりに中学受験の塾へ行っても何とか通用したはず笑。少なくとも算数についてはデルタの方が高い点数を取れていたでしょう。
6年生からデルタに乗り、障害物の飛び越え方のイロハをI先生から教わりました。5年生ではすでに鐙無しで120cm障害を飛べていたものの、馬にしがみつきムチャクチャな姿勢で命からがら飛び越えていたという形。障害物のコースをスムーズに完走しようとするなら、
- 障害物への誘導法
- 障害物を飛び越えるために馬へ送る合図の方法
- 障害飛越中の騎手の姿勢
- 飛越後、馬が着地する際の衝撃の和らげ方
などたくさんの高度な技術の習得が必要不可欠になってくる。それ等を普通の馬で習得するのは難しいため、乗馬クラブ (以下、MRC)に居る馬の中で飛びぬけて優秀なデルタに乗って一つずつ勉強しよう!という試み。
デルタの何が優秀かって、ある程度のスピードで障害物に向けたら勝手に踏み切りを合わせて飛越してくれたんです。MRCの他の馬に障害物を飛び越えさせようとすれば、騎手自らがペース調整をしたり、踏み切り位置を合わせたりと色々頭を使わねばなりません (←ソレが普通)。デルタはそうした面倒な手間を全て代行してくれました。しかも、どんな障害物でも必ず飛ぶから安心して身を委ねられます。デルタに乗って障害物への誘導や飛越中の姿勢の特訓をしました。障害物コースの走行練習も幾度となく行いました。デルタは私に「障害飛越って楽しいんだぞぉ~」と身をもって教えてくれました。自分の誘導や指示で馬が会心の飛越を見せてくれた時の快感は最高。また、(デルタに甘えてばかりじゃだめだな)と、自分の地力を鍛える必要性にも薄々気が付いてきました。デルタじゃなければ飛んでくれない酷い誘導をしたこともあったし、他の馬でも飛ばせられるようスキルアップを心に誓いました。