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【海外SF】”星を継ぐもの”を読み、スケールのデカさと字の小ささに色々圧倒された件

私は札幌に住む現役理系大学院生である。

最近、海外のSF作品を読むことにドはまりしてしまい、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。

この記事では、J・P・ホーガンのデビュー作、星を継ぐものを読んだ感想について記していく。

  • 何か面白い読み物を探している方
  • 科学の知識がふんだんに使用されている作品を読みたい方

こうした方々にピッタリな本だと思うので、その魅力をお伝えすべく、今から記事を執筆していく。

 

それではさっそく始めよう。

圧巻のスケールと美しい描写

この本の舞台は太陽系である。

5万年前に死亡した死体が月で発見されたという設定をイントロとし、そこから地球や小惑星、木星など、星間をビュンビュン飛び回るように目まぐるしくストーリーが展開されていく。

月で発見された死体について色々と調べていくうちに、”死体がどこからやってきたのか、どこへ行くつもりだったのか”も解明される。

ラスト1ページのオチには鳥肌が立ってしまい、

かめ
この本、すごいな…!

と感動に浸り、3日ほどで一冊を読み終えることができた。

この本を読んだ後に外に繰り出し周囲を眺めると、自分の住む世界が全く違って見えた。

研究室で学年を重ねるにつれて

  • 迫りくる研究室でのゼミ発表
  • 時々イライラさせられる人間関係

など、下らない悩みが増えていく一方だが、星を継ぐものを読了後、「自分はどうしてこんな小さいことで悩んでいるんだ」と過去の自分がいじらしく見えた。

器の大きな人間になるために、私も一度、月面着陸すべきである。

月に寝っ転がって地球をぼーっと眺めているうちに今の悩みなどどうでも良くなってしまうだろうから、次のJAXAの宇宙飛行士募集の際は必ず応募したいと考えている。

 

この本で特に印象に残っているのは、木星の衛星・ガニメデから木星を眺めている時の場面である。

ガニメデからは木星の縞模様が克明に観察できるらしく、まるで自分が木星を観察しているかのような文語表現にあふれんばかりの臨場感を味わえた。

自分も主人公と同じように木星を観られたら本当に幸せだろうし、もし間近で木星と正対したら(生きていて良かった…)と満足感に浸ることができるのだろう

私自身、天体観測が大好きであり、本作を読みながら(そういえば中学生の時, 夜によく望遠鏡で月やオリオン大星雲を観ていたなぁ…)と10代を懐かしく回顧した。

最近は研究活動が忙しすぎて、星空を見上げる余裕も無くなってしまっていた。

今夜、もし天気が良ければ、夜空に燦然と輝くお月様を何も考えず1時間ぐらい眺めたいと思う。

 

科学者みんなで謎に迫っていくゾクゾク感がたまらなく面白い!

星を継ぐものの大きな魅力は、世界中の科学者が一致団結して一つの謎を解明していく所である。

物理学者(主人公)や化学者、考古学者などあらゆるジャンルの英知を結集し、人類総力戦で宇宙スケールの謎に挑むゾクゾク感がたまらなく面白かったのである。

Amazonの上位レビューには「総力戦感」といった表現が用いられていたが、本作を表すにはその言葉が最も適切ではないかと感じられた。

SFでありながらドキュメンタリー、なおかつミステリー小説な本作品は、様々な楽しみ方ができる大変稀有な一作だと思った。

本作品は科学系の知識がなくても楽しめるようにはなっている。

しかし、科学系の話になじみがあれば、ストーリーをより深く理解できて面白いのではないかと思う。

私の場合、大学で物理寄りの化学系研究に携わっているから、本作中のその辺の話を大変興味深く味わうことができた。

また、自分も研究者になってこの輪の中に加わりたいっ!と思ったし、(本作レベルの大きな謎を解くためにもっと力をつける必要がある)と痛感させられた次第である。

 

もう少し文字が大きければなぁ…

この本で唯一惜しい所は、致命的に文字が小さい点である。

創元SF文庫の他作品と比較して体感的に2/3ほどのフォントサイズのため、文字を読むのに絶えずギュッと目を凝らさねばならないのである。

文字が小さいせいでこめかみに力が入ってしまい、他の本より体力消費速度がどうしても速くなってしまう。

その影響で読み進めるペースも遅くなり、満足したからではなく目が疲れたから読書をストップせねばならなくなった。

私の視力は両目1.5(裸眼)で、同世代の中では割と高い方なはずである。

しかし、私ですらも読むのに非常に苦労してしまったので、私より視力の低い方は読むのが相当大変なんじゃないかと考えられる。

もう少しフォントサイズが大きければ、読みやすさは格段にアップするはずなのである。

岩波文庫など、大昔に出版された本は(紙節約のため?)概して文字の大きさが小さい傾向にあるから、出版者様には目に優しいワイド版を是非とも出版して頂くよう、何卒お願い申し上げます。

なお、文庫版ではなくKindle版なら画面拡大により文字を大きくすることができる。もしフォントサイズを気にする方がいらっしゃれば、私からは電子書籍Ver.のご購入をオススメしておく。

 

書店で現物を確認した所、J・P・ホーガンの他の作品に関してもフォントサイズは小さかった。

本当ならこの作者との出会いはコレでおしまいにするところだが、星を継ぐものは三部作でまだ続きがあるらしいと発覚した。

本作があまりに面白かったので、次回作の『ガニメデの優しい巨人』や最終作『巨人たちの星』も頑張って読み通したいと考えている。

いったいこの謎がどう終結するのか、フィナーレを目撃せずにはいられなくなったわけである。

なお、最新作の未踏の蒼穹は目に優しいフォントサイズであった。

三部作を読み終えた後はこの作品を読み、ホーガンさんの世界観にどっぷり浸りたいと考えている。

 

最後に

J・P・ホーガン作の”星を継ぐもの”を読んだ感想については以上である。

本作はとてもスケールの大きなSF小説であり、少々難しい科学的議論以外は誰が読んでも楽しむことができる。

また、登場人物が一致団結して謎に挑む様子はまさに「人類総力戦」と言うべきもので、少しずつ謎が明らかになっていく様は読んでいてワクワクさせられる。

ただ、フォントサイズはかなり小さく、視力の低い方は読み進めるのに若干苦労する可能性がある。

もしこの作品に興味があれば、以下の商品リンクから

【海外SF】アンドロイドは電気羊の夢を見るか?を読み、(人間って何なのだろうか?)と考えてみた

2022-06-03

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