こんにちは。馬術競技から陸上競技に転向した北大工学系大学院生ランナーのかめ (D1)です。
最近とみに「学生のうちにたくさんのことを経験しておくべし」との声を聴く。インフルエンサーや若いYouTuberが口を揃えて言っていますね。しかし、皆が同じことを言いだす時は警戒しなくちゃいけません。人の言うことをソックリ信じ、「たくさん経験しなきゃ!」とやたら滅多に手を出しまくるのは危険。そこでこの記事では、『学生のうちにたくさんことを経験しておこう』の”罠”について記します。自身の経験談を踏まえてお話しするのでぜひ最後までご覧ください。
それでは早速始めましょう!
Contents
いろいろ経験してみて初めて自分の得意分野が分かる
『学生の間にたくさんのことを経験しよう』を全否定するつもりはありません。ある側面では人生の核心を的確に突いていると思います。人間誰しも生まれながらにして己の天分をわきまえている訳ではない。それぞれのライフステージで沢山のことを見たりやったりしていくうちに、
と才能を最大限発揮できる領域が見つかり輝きを放つのが人生。得意分野を発掘するにはチャレンジの回数を増やすしかない。1回や2回だけじゃダメ。100回や200回、場合によっては何百回ものチャレンジが必要なのかもしれません。小さい頃にたくさんの習い事をやらせてもらえた人は幸運。天分と出会えるラッキーチャンスがそれだけ多かったということだから。習い事をあまりさせてもらえなかった人は自分でチャンスを掴むしかない。自分に適した対象との出会いを求めて経験を重ねるのみ。
世間で”天才”と持ち上げられている人の大半は天分が見つかるのが早かった人たち。小さい頃は何をやっても実力が急速に伸びていくもので、中でも自分の得意なことと出会えた人が対象にドハマりして才能を伸ばす。ココで「自分はもう子供じゃないしな…」と過ぎ去った日を前に落ち込まぬように。残りの人生で一番若い日は”今日”というこの一日ですし、”いま”何かへ取り掛かれば才能を育めるチャンスが最大。このように、『学生の間にたくさんの経験をしよう』はほとんど正しいと思います。しかし、『たくさんの経験をする』のが目的になったら人生が中途半端に…
どれも中途半端で何も得られず終わるリスクを覚悟せよ
たくさんの経験をやるべき理由は自分が最も輝ける場所を探すため。物事をつまみ食いして表面だけなぞるためではなく、魂を捧げて懸命に生きる対象を見つけるために行うのです。ホリエモンが”多動力”を云々しているのもこの文脈。充実感を持って生きるためには自分に合った領域を探すしかない。色々な経験をするのは確かにとっても面白い。物事は何でも趣味として嗜む程度にとどめておくのが一番楽しい。
しかし、いつまでもフラフラと彷徨っていたら何も極められずに人生が終わる。大学を卒業する時、 (自分の4年間って何だったんだろう…)と途方に暮れる可能性が高い。『たくさんの経験をする』といった”手段”を”目的”にしてしまってはダメということ。どれも中途半端で何も得られず時間とお金が消えていく一方。私自身、(たくさんの経験をしよう!)と焦って自分探しの沼にハマったことが。音楽、芸術、語学など様々手を出しても身にならなかった。このように、『たくさんの経験をしよう』は身を亡ぼす危険との隣り合わせ。宙ぶらりんな人生になっても良いという方だけいつまでもなされば宜しいかと。「そんなのイヤだ!」とおっしゃる方は、なるべく早く『経験値積み』から卒業せねばなりません。己の有する全エネルギーを撒き散らさずに一極集中させるのです。
【経験談】もしも何かを成し遂げたいなら、ある期間、エネルギーを一極集中させる必要がある
私自身、ハッキリ言って『たくさんの経験を積もう』には反対。ひとたび自分の適性を見定めたならば、『やるべきことをなるだけ絞って芽が出るまで続けよう』と主張したい。スポーツ、勉強、芸術など分野は何でも構いませんが、それぞれの道のエキスパートはみな、やるべきことを絞りに絞って継続的にやってきた人たち。テキトーなつまみ食いでは決して高みに至ることはできず、覚悟を固め、地面を踏みしめ、己の全エネルギーを一つの対象に降り注いでようやく結果を出せるのです。いま「たくさんの経験を積もう」と盛んにおっしゃっているインフルエンサーも全く同様。彼ら/彼女らが本気の努力もなしに影響力を獲得できたでしょうか?(出来たわけがありません)
私自身、過去に
- 中三:馬術競技で国体優勝, 3位, etc.
- 大学受験一浪時:北大総合理系へ次席合格
- 大学三年次:フルマラソン3時間切り
- 大学院修士二年次:日本学術振興会特別研究員DC1内定|100kmマラソン9時間1分
といった実績を積み重ねてきました。特に国体の馬術競技では馬術以外のほとんど全てをかなぐり捨てて臨んだのです。本来ならば高三になったら大学受験勉強をせねばならない。しかし、国体でどーしてもまた勝ちたかったので馬術の練習を最優先に。おかげで現役での大学受験であえなく滑ってしまいました。一年もの人生を捨てる覚悟で臨まなきゃ頂には届かないのです (結局二度目の戴冠は叶わなかったけれども…)[乗馬体験記・青春駆ける 高3編]。また、マラソンで3時間切りを果たすため、周りから誘われたほとんど全ての飲み会を「ごめん、行けない」と断り続けた。せっかく走り込みで鍛えた筋肉をアルコールで壊したくなかったからです。大学でできた貴重な友達も”付き合いが悪い奴だな”と離れる一方。孤独、苦痛、不安などと闘い、ランニングへ情熱を注ぎ続けてようやくサブスリーを達成できた[2019富士山マラソン体験記]。
もしも何かを成し遂げたいなら、自分の適性に合った対象へエネルギーを100%注ぎ込む必要があります。一夜漬けでは成就せず、一か月、数か月、場合によっては数年以上も情熱を捧げ続けねばなりません。正直言ってめちゃくちゃ苦しい。めげたくなってしまう時も。それでも投げず、耐え続けることでやっと視界が少し開けてきます。努力が報われるとは限りません。でも報われたいなら努力あるのみ。報われる場所で、報われるだけの努力を、報われる方向にする必要がある。そのための一つのキッカケを作るために『たくさんの経験を積もう』があるわけです。
最後に
『学生のうちにたくさんの経験を積もう』の”罠”は以上です。皆さんもなるべく早く天分を見つけ、エネルギーを一極集中させて大きな成果を出して頂きたいと思います。