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vol.5 中学2年生、壁にぶつかる|青春駆ける ~馬術に情熱の全てを捧げた10年間の成長の足跡~

10月~11月:九州グランプリで復調の兆し。120cmコースを初めて完走

ジュニ選から帰還した後、夏休みはMRCで猛練習。スプラッシュではもちろん、スプラッシュ以外の会有馬 (かいゆうば, MRCが所有する馬のこと)でも障害飛越の猛特訓。学校の宿題?そんなの知らない。宿題よりもウマの方が大事だし、”上手くなりたい”という一心だけで障害物を飛びまくった。特に重視したのが課題の『スピード』。ハイペース下でも馬を制御できるよう、落馬して痛い目に遭いながらもたくさん練習を積みました。I先生の騎乗をマネして馬上での姿勢のとり方を矯正。手綱の捌き方、馬への合図の送り方などゼロから技術を作り直した。するとある日、今までの不調がまるで嘘のように全てがうまく行き始めたのです。(悩んだって仕方がないわ)と開き直ったのも良かったのでしょう。I先生が組んだ120cmの練習コースをあっけなく完走できてしまいました。I先生、上機嫌で「よし、次は120cmに出ろ」と私に指令。

10月の最終土曜&日曜、福岡で九州グランプリに参加。中学校の文化祭をサボっての出場とあってかなりノリノリ&ハイテンション (←理由はのち説明します)。九州グランプリでは土日に110cm、日曜に120cmへ出場。110cmでは二日ともハイペースで走れ、日曜に至っては減点ゼロ、優勝決定戦ジャンプオフで走行できるオマケつき。初めての120cmも2つの落下に留めて完走。壁のように高く目に映った120cmのコースを走り切れてすごく嬉しかった

九州グランプリ 120cm走行映像

一時の極端な不調を脱してようやくまともに走れました。考えすぎず、なるべく脳内を空っぽにして臨んだ方が上手く行くと分かったのです。良いイメージを持つ重要性も学びました。何らかの理想像を持ち、その通りに体を動かせるよう脳内でシミュレーションを重ねる。いわゆる『イメージトレーニング』です。学校をサボって毎日MRCで乗馬をやるわけにはいきませんが、馬に乗れない平日であってもイメトレで技術を高めることは可能。以降、MRCでも大会でも自分より上手い人を見つけたら、その人が馬に乗っている様子を必ず観察するように。盗めるモノは徹底的に盗む。何としても自分の糧にする。

11月末、香川で主基杯に参加。土曜日に110cm、日曜日に120cmへ出場しました。今までチンタラトロトロ走っていた私の面影は最早ありません。スプラッシュ本来の速いペースで問題なく110cmコースをクリアしました。しかし翌日、120cmでは出番直前の練習中に落馬。私の誘導が悪かったせいで、馬に拒止され、障害の前へ投げ落とされてしまいました。障害物を飛び越える際、ただでさえ馬は勇気を要します。まして、障害前で拒止した後では馬が障害を越えるのを怖がる。I先生に「何やっとるんじゃい、しっかりせんかい」と強くカツを入れられました。(自分が怖がっていたらスプラッシュまで怖がるんだよな)と、カラ元気を出し”障害を怖がらず堂々とスプラッシュへ合図を送ろう”と誓いました。それからすぐにレースへ出場。2つの障害物を落としてしまうも無事に完走することができた。九州グランプリの120cm完走がマグレじゃなかったと証明されます。手放しでは喜べない結果でしたが、”自分でもちゃんと120cmを回れるんだ”と大きな自信になりました。

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