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沖縄100Kウルトラマラソン2022 レース体験記【9時間1分】

フィニッシュ後

14:01 めっちゃ悔しいけど清々しい。胸を充実感でパンパンに膨らませて沖縄の青空をぐっと見上げる

フィニッシュ後の第一声は「あ~、クソー!」だった。目標に届かず悔しさがにじみ出てきた。フィニッシュタイムは9時間1分17秒。サブ9まであと77秒及ばなかった。1kmあたりもう1秒速く走ればサブ9できていた計算。それができれば苦労はしない。出来なかったからこうして悔しい思いを味わっている。あまりに悔しい幕切れとなった。あの長い信号待ちにさえ引っかからなければ、中間地点でもう少し早く後半戦へと駆け出していればなど、たらればを言い出せばキリがない。

悔しくてたまらないにも関わらず、ゴールしてコースへと一礼した瞬間、納得感で胸がいっぱいになった。

この半年間、研究ほぼそっちのけでランニングにうちこみ、沖縄で9時間を切るためだけに全てをささげて頑張ってきた。練習では妥協せずハードな走り込みを行い、本番に向け最高のコンディションを作るべく栄養管理を徹底した。レース本番でも暴走せず、ほぼ完璧にペースコントロールできた。これ以上頑張れと言われても頑張れない。頭も体も使いつくした。それだけやって9時間切れなかったのだから、もう「仕方がない」としか言えない。自分で立てた高い目標に向かってカッコつけず我武者羅に走ってきて、ものの見事に力負けして弾き飛ばされた。あと一歩という所で跳ね返され、かえって清々しい気持ちに。純粋に力負けしたがゆえの結果。サブ9するにはもっと強くならねばならない。

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覚えてろよ、次こそはサブ9してやるからな!サブ9なんて言わず、今度はサブ8.5、あわよくばサブ8しに沖縄へ戻ってくるからな!

14:10 完走記念の沖縄そばとバナナをいただく

ウェアを脱いで私服に着替える。完走記念のバナナを頬張り、仮設テント下にて温かい沖縄そばを頂いた。だし汁が冷えた体の隅々に染み渡る。そばは、カロリーを欲していた私の体へあっという間に吸い込まれていった。沖縄そばを頬張っていた時、レース中に一緒に走った女性ランナーのOさんがカッコよくゴールするのを目撃。100mileの翌週に100km走るだけでもすごい。その100kmを9時間台前半で走るだなんてもっとすごい。持久力も才能の一つだと感じる。自分が今後、いくら練習を重ねたとしても、160kmの翌週に100kmは走れない。

与那古浜公園の芝生にレジャーシートを敷き、寝そべって空を見上げた。スタートした5時にはとんでもない悪天候だったけれども、戦いを終えた14時にはところどころ晴れ間がのぞいていた。

15:00 バスで県庁前へ無事帰還。宿へ帰ってお湯をはって肩までつかってリラックス

予約していたバスに15時ごろ乗車。往路と同じく45分ほどかけて県庁前駅へ。下車後、荷物を持って足を引きずりホテルに無事帰還。筋肉痛の影響で地面へ足をつくたび強烈な痛みが走る。その痛みがまた何とも心地よく感じられた。50kmでリタイアしていたら味わえなかった痛みだから。最後まで諦めず戦い抜いて良かった。偉いぞ、半日前の自分よ!浴槽にお湯をはって浸かる。体中の筋肉をもみほぐしてセルフケア。休憩してから沖縄の繁華街へ。さぁ、夕食だ。好きなものを食べよう。

18:45~ 国際通りで念願の夕食

念願の沖縄料理を食べるべく国際通りへ。沖縄イチの繁華街・国際通りへ頬を緩めて繰り出していく。さてさて、どの料理屋さんへ入ろうかな。ぶらぶら歩いていると、あるお店の前でキャッチーさんに『ウチのお店どうすか?!』と声をかけられた。あまりの引きの強さに「ネオジウム磁石かよ笑」とツッコミを入れたくなった。そこの所をグッとこらえ、「どんなお店なんですか?」と特徴を聞き出しにかかる。キャッチーさんの話術は巧み。『ウチのお店は沖縄の郷土料理をほぼ何でも揃えていましてね……』と1分ほどのマシンガントークが。こうしたセールストークって大体途中で聞くのが嫌になってくるの。しかし、このキャッチーさんの話術が上手でどんどんお店に興味が湧いてきた。足が痛く、これ以上ウロチョロしたくなかった。「じゃあそこにします」とお店を決定。

向かったのは『ちゅらちゅら』という郷土料理屋さん。フロアは二階。階段を登らねばならず、手すりにしがみつきながらやっとの思いでお店へ着いた。

店内は色とりどりの琉球ガラスが上から吊り下げられていた。すごくお洒落。幻想的なムードが気分を高揚させてくれる。こういう素敵なお店に異性と一緒に行けたら本当に楽しいだろうな。まぁ、自分には一生無理だろう。大学でさえ彼女を作れなかった自分がサラリーマンになって彼女を作れるとは思えない。彼女と一緒に入店した妄想をする。楽しいなぁ。現実はあまりにも辛い。

飲み物には『沖縄パインサワー』を注文。お通しのミミガー和え (豚の耳)を肴に、今日一日頑張った自分と乾杯🍻。100km走った夜にアルコールを飲んで大丈夫だろうか?結果、特に何も問題はなかった。疲れた体にアルコールが染みわたってめちゃめちゃ気持ち良くなれた。ミミガーはコリコリとして歯ごたえがある。まるで鳥の軟骨を食べているような感覚だった。動物の耳って食べられるんだな。初めて耳を食べようと思った人の勇気へ賛辞を贈りたい。

サワーを飲んだらお腹がどんどん空いてきた。追加で2品注文しました。やってきたのは『ソーキそば』と『ラフテー (泡盛で煮込んだ豚の角煮)』。そばもラフテーも味が濃くて美味しかった。ラフテーが最高。アルコール度数の高い泡盛を使って煮込んでいるだけあって柔らかかった。

〆には『サーターアンダギー』を注文。サーターさんはウルトラのエイドにも置いてあって、(食べたいなぁ)と思いながら食べずに通り過ぎた。レースの最中に固形物を摂ると胃が消化不良になって気持ち悪くなる。エイドステーションにどれだけ豪華なご馳走が並んでいても食べるのを我慢しなければならなかった。沖縄と言えばサーターアンダギー。沖縄から札幌へと戻る前に、どうしてもサーターアンダギーを食べておきたかった。念願かなって食べたサーターさんは、外はサクサク・中はしっとりで美味なスナック。カロリーの塊だ笑。100km走った夜ぐらいしか罪悪感なく食べられない。

会計を済ませて店を出る。このままホテルに直帰するのも勿体ない。もうしばらくの間、国際通りにて夜の雰囲気を味わうことに。国際通りを遠くから眺め、沖縄をとてつもなく愛おしく感じた。なんて活気のある所なのだろう。行きかう人がみな笑顔で楽しそう。私は沖縄が大好きだ。老後は沖縄でまったりと過ごしたい。

レースの前日受付をしたパレットくもじに寄った。クリスマスを意識したイルミネーションで彩られていた。常夏な沖縄にもクリスマスがある。BGMで流れているジングルベルがこの地域に相応しいのかは疑問だが。ライトアップの右では、ギターを弾く2人組が路上ライブを行っていた。聴いたことのあるウィンターソングを演奏していた。クリスマスツリーを眺めながら歌を聴くのは何だかものすごく風情がある。

23:00 ああ、楽しい一日だった!

22:30ごろホテルに帰った。再びシャワーを浴び、寝巻に着替え、痛む足を抱えてベッドにダイブ。体の熱が冷めるまでの間、今日一日に起こった出来事を順番に思い返してみた。スタート会場に着いた時は寒くて「走るのを止めておこうか」とすら考えていた。いざ走り出すと体が温まり、「60kmまではウォーミングアップ」と聞いて気合が入った。サブ9へ向かって駆けたラスト10kmはきっと一生の思い出になるだろうな。9時間を切れなくてすごく残念だけれども、全力を出し切った爽快感は何とも清々しいものがある。

ああ、本当に楽しい一日だった!

幸せと充実した気持ちで胸を膨らませながら、23:00ごろ電気を消した。

おしまい

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