馬術競技から研究とマラソンに転向した化学系大学院生かめ (D2) です。2024年11月に行われた福知山マラソンを2時間42分14秒でフィニッシュしました。当初の目標は2時間40分切り(サブ40)。ハーフを1時間20分04秒で通過する理想のレース展開だったものの、25km過ぎから徐々に失速し、サブ40にあと2分届きませんでした。
この記事では、自分がなぜサブ40できなかったのかを、今シーズンの練習を振り返りながら考えていきます。サブ40を目指す方や記録向上の糸口をお探しの方にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
サブ40到達に向けて行った取り組み
今シーズンの月間走行距離は400~500km。ボリューム自体は十分確保できていたと思います。練習の大半はジョグ。4’40″~5’00″/kmぐらいの楽なペースで淡々と距離を踏んでいく日々。走行距離を重ねていくにつれて疲労回復力が単調増加。一週間で120km走っても全く疲れない、強くてタフな体を作られました。
平日半ばにはトラック練習。3’25″/kmで2000m×4のCVインターバルをこなしたり、10000mを3’32″/kmで押し通す閾値走をこなしたりできるだけの力がつきました。週末には起伏走やロングラン。二時間以上、無補給でぶっ通しで走り続け、脚筋力とスタミナを養ったのです。ロングランは、35kmを3’56″/kmで余裕を持って走れるだけの力が。福知山の二週間前には練習でフルマラソンに出場し、筋肉痛ゼロで2時間47分00秒 (3’58″/km)にて走り切って快哉を叫んだものです。
これだけやってもサブ40には届きませんでした。なぜでしょう?思い当たる原因は3つあります。
- マラソンペース走ゼロで臨んだのがダメだった
- 坂をキロ4以上で走る練習をしていなかった
- レース前からサブ40ペースに少しビビっていたのも響いたか
以下で一つずつ考えていきます。
マラソンペース走ゼロで臨んだのがダメだった
サブ40のレースペース(RP)は3’47″/km。RPより遅い練習はもちろんのこと、RPよりも速い練習だってこなしました。しかし、肝心のRP走は一度もやらずじまい。やらなくても何とかなるだろうと甘く見ていたのが良くなかったのかもしれません。
RPよりも遅い練習では持久力が養われます。RP以上のペースの場合、閾値や心肺機能の向上が見込めるでしょう。両者の中間にあたるRP走では、スタミナとスピードを融合させられます。速くて長く走れるようになる能力を培えるというワケです。福知山を走るまでの自分にはこの「融合」の観点がすっぽ抜けていました。RP以上&以下の練習さえやっておけば、体内で能力が勝手に融合されると思っていたのです。能力の融合は、「起こる」ものではなく「させる」ものだったみたい。何度もRP走をこなす過程で”能動的に”融合させていかねばなりませんでした。事実、レース本番では、心肺機能とスタミナとがちぐはぐな状態に。RPでも心肺機能は終始余裕。脚の方へ先に限界が訪れたがゆえに後半からズルズルと失速してしまったのです。
もちろん、閾値の引き上げが足らなかったのもあるでしょう。閾値走を3’20″/kmぐらいで行える力があれば3’47″/kmなどヘッチャラだったでしょうから。閾値以上に大きな問題は、身体がRPの出力へ慣れていなかったこと。大変でも大変でなくもない、あの絶妙な強度のペースを維持する総合力が不足していました。当然ながら、マラソンではRPで走ります。RP以上でもRP以下でもなく、RPど真ん中での走行。RPに慣れていなければ、RPを長時間出力し続けるのは難しいのかもしれません(註:あくまでも仮説です)。せめてハーフぐらいの距離のRP走を2~3回やっていればサブ40できていた可能性があります。
坂道をキロ4以上で走る練習をしていなかった
福知山マラソンを始め、全国各地の大会のコースは必ずしも平坦な道ばかりではありません。フラットなコースを謳う大会でもちょっとした橋や丘を越えねばならないのです。
コース上の坂道は曲者。平坦な道でノッてきた走行リズムがみるみるうちに瓦解していきます。走行ペースも乱れるでしょう。上りでは遅く、下りでは速くなり、平坦な道に戻ったときにペースを復帰させるまでに時間を要します。坂道を上り下りする際は、ペースよりも感覚重視で走っていました。常に同じ力を出し続ける感覚で走れたらペースが変わっても大丈夫、と。
本番での坂道走行ペース自体に敗因はありません。練習で坂道ハイペースランを一切していなかったのが直接的な敗因でしょう。特に上り坂にて練習不足を痛感しました。キロ4以上のペース維持に必要な脚筋力がなく、自分の思い通りに上れなかったのです。多少は起伏走をしていたといっても、ジョグに毛が生えたぐらいのペースで坂を越えていたに過ぎません。自分がサブ40するには、もっと速く、もっと長く坂を駆け上がる練習が不可欠でした。坂ダッシュひとつやらずに本番の上り坂で疲弊するのは当然。起伏の多いレースコースで記録を狙うにあたって、起伏を速く走る練習をしておくべきでした。
レース前からサブ40ペースに少しビビっていた
恥ずかしい話、実はレース前、サブ40ペースの「3’47″/km」にビビり散らかしていました。”こんなに速いペースで42kmも走れるのかな”と不安が募っていたのです。。二週間前には3’58″/kmで楽にフルマラソンを完走。あのペースからキロ10秒上げるだけだったにもかかわらず、物おじしてなかなか勇気が出ませんでした。3’32″/kmで10km走れる人間の考えることとは到底思えない。本来、かなり楽なペースだったはず。RPへビビる必要など無かったのに、ビビッて自ら心理的限界を設けてしまって潜在能力を出し切られませんでした。
自分がなぜRPに物おじしたか?RPの正体が分からなかったから。自分にとってRPがどれぐらいキツいものか、どのぐらいの出力が求められ、どのぐらい長続きさせられるのか見通せなかったのです。RPの正体が分からなかったのは、RP走を一度もやらなかったから。一回でもやっていればどのような感覚なのか分かっただろうけれども、いかんせん一度もやらずに本番に臨んでしまい、漠然とした怖さだけを募らせる結果に。未経験のペースを本番でいきなり42kmも持続させるのは至難の業。初物にビビらぬメンタルの強さもないし、せめて一度ぐらいRP走を行ってからレースに出るべきでした。
あるいは、自分や自分がこれまで積んできた練習をもう少し信じてあげられたら良かった。サブ40するために必要だと思った練習は全部やってきたのだから、「サブ40できるに決まっている!」ぐらいは自身へ言い聞かせて臨んでも良かったかもしれません。
まとめ
サブ40(2時間40分切り)達成に向けて、月間400-500kmという十分な走行距離と、閾値走やロング走など質の高いトレーニングを積んでいたにもかかわらず、目標達成には至りませんでした。主な要因は3つ。
第一に、マラソンペース(3’47″/km)での練習不足。スピードと持久力を融合させる重要なトレーニングを欠いていました。第二に、起伏のあるコースに対応する坂道での高強度トレーニングの不足。そして第三に、レースペースに対する心理的な不安。これは実際のレースペースでの練習経験が無かったことに起因するでしょう。ここで見つかった反省点を踏まえて来シーズンの練習計画を作ります。次戦ではサブ40、その次のレースではサブ35まで行けたら嬉しいです。
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