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【マラソン】サブスリーからサブ45達成までに変えた3つのトレーニング

馬術競技と研究からマラソンに転向した化学系大学院生かめ (D2) です。ラン歴3年目にマラソンを2時間59分23秒で完走したのち、五年間の鍛錬を経て、8年目に2時間42分14秒まで記録を伸ばしました。記録を17分間短縮するまでには数え切れないほどの試行錯誤がありました。今回は、その過程で得た気づきを、特に練習方法の変遷に焦点を当てて綴っていきます。

この記事は、以下の方々に向けて記しました⇩

  • 記録向上のキッカケを掴みたい方
  • サブ45を見据えるサブスリーランナーの方

私の経験が皆様の記録更新への一助となれば幸いです。

ジョグの走行時間を30分伸ばした

サブスリーからサブ45を目指すには、絶対的な有酸素能力を向上させなければなりません。吸い込んだ空気から効率的に酸素を取り込んだり、キロ4を切るようなペースでも心拍数の上がりすぎない体が必要です。

このように記すと「じゃあインターバル走だ!」と早合点してしまう方がいらっしゃるかも。確かにインターバル走は必要です。最大酸素摂取量(VO2max)の爆上げにはインターバル走の実施が効果的。しかし、毎日インターバル走を行うわけにはいかないでしょう。そんなことをすれば足が壊れます。連日高強度な練習ばかりでは、そのうちメンタルが焼き切れてしまうかもしれません。

有酸素能力向上に不可欠なのがジョグ。ゆっくり長く体を動かし続けることで少しずつ効果が顕れてくるでしょう。心肺機能はジョグで鍛えられます。心筋やVO2maxはジョグでも強化されるのです。ジョグでは基礎体力も高まります。ジョグをしっかりこなしておけば、本格的なロングランでも最後まで余裕を持ってキッチリと走れるでしょう。ジョグにはランナーの故障防止効果も。ジョグのペースは低強度。出力量の小さなペース帯での練習なのでジョグで故障するケースは少ないです。ジョグでランニングに必要な筋肉を鍛えておけば、のちのち行う高強度練習にも耐えうるしなやかな体が手に入るでしょう。

記録を2時間59分から2時間42分まで引き上げるために変えたのはジョグの走行時間これまではきっかり60分だったものを90分まで伸ばしました。基礎練習で余裕を持って長く走れれば走れるほど強くなれます。同じペースで走る場合でも、60分ジョグより90分ジョグの方が走力向上の効果が見られるのです。実際、ジョグ時間を30分増やしたおかげで、ロングジョグやレース本番での粘り強さが段違いに高まりました。3時間のロングジョグぐらいではそもそも疲れません。レース本番でも足が辛くなってからフィニッシュまで大失速せず耐えられるように。

週五から週六の練習に切り替えた

充実したジョグ練習をこなせるようになったおかげで故障しにくくなりました。今までは月に一回ぐらいのペースで膝やふくらはぎを故障していたのが、2時間42分を記録したシーズンは練習由来の故障をせずに済んだのです。今までどれほど基礎練習を疎かにしていたかということ。基礎練習の拡充は一見遠回りなようでも、実はより確実なレベルアップ方法でした。

故障しにくくなったおかげで練習回数を増やせました。3年目は週五回の頻度だったものを、8年目には週六回にまで増やせたのです。増加したのはポイント練習の回数。一週間でインターバルとロングラン一方しか行えていなかったのが両方とも行えるように。一週間で速さと持久力を両方とも鍛えるわけです。こうなったら走力が嫌でも向上していきます。あれよあれよとキロ4で走るのが楽に。3年目までは4’15″/kmでハーフを走るのでさえ苦しかった。8年目の今ではキロ4で35km走を朝飯前で行っています。

練習の時間と回数が増えたおかげで、結果的に月間走行距離が200km増えました。300km前後だったものが500kmぐらいにまで引き上がったのです。月間走行距離を延ばそうと思って延ばしたわけではありません。月あたりの累計距離を確認するのは月末の一回だけですから。日々無理のない範囲で練習していて、”気が付いたら”走行距離が伸びていました。あくまで結果論の話。距離にこだわって距離を延ばしたら故障しかねないので注意して下さい。

練習のレベルを漸進的に引き上げていった

マラソン記録向上の前に立ちはだかる一番の敵は<焦り>。焦って自分に不相応なレベルまで練習強度を高めてもろくなことにはなりません。巡航可能なペース以上の速さで走れば足が壊れます。速く・長く追い込みすぎればオーバートレーニング症候群で早々に燃え尽きてしまうでしょう。マラソン練習を行う際、自分に相応しいレベルの練習をしなければなりません。過不足なく、ケガのリスクを最小限に抑えられる練習を選択する必要が。練習は継続できてナンボ。追い込んでは故障しての繰り返しよりも、低いレベルから徐々にステップアップしていく方が長い目で見て高い所へ行けるでしょう。

自分の足は少し気を抜けば故障します。日常生活で足底やふくらはぎを痛めてしまうぐらいのデリケートさ。ガラスのハートどころではありません。足の強度はティッシュペーパー二枚分ぐらいしかない。追い込み過ぎたら一発で故障。たとえ1000m一本でも設定タイムを上回りすぎれば練習後の痛みは間違いありません。調子が良すぎてCVインターバルでペースを上げすぎたとき、足へピリッとした違和感が顕れて冷や汗をかきました。不相応なペースで走っている証。慌ててペースダウンして事なきを得ました。

そんな自分が今シーズン故障せずに済んだのは、練習を慎重にレベルアップしていったから。石橋を叩いて叩き割るぐらいの慎重さでレベルアップ時に気を遣いました。インターバル走では、同じ練習を二週連続でこなせてからようやくレベルアップを検討する。検討に検討を重ね、検討を加速させた結果、もう一週同じ練習を行ったことも。ステップアップの歩みは非常に遅いかもしれません。しかし、一か月ごとに確実にレベルアップしていけます。ケガせず毎月強くなれれば、長い目で見て逞しくなれるのは明らか。急がず、焦らず、慎重にレベルアップ。時間を味方につけてマラソン記録を引き上げました。

まとめ

2時間59分から2時間42分で走れるようになるまでの練習変遷について述べました。

練習の本質的な変化が、確かな記録更新を支えました。まず基礎体力の徹底強化です。ジョグの時間を30分延長したことで、体が確実に強くなっていきました。故障のリスクも減り、おのずと週の練習回数も増えていきました。週5回だった練習は週6回へ。インターバル走とロングランを同じ週にこなせるようになり、スピードと持久力を同じ週に磨けるように。そうして気がつけば月間走行距離も200kmほど増加していました。ただしこれは意図的に距離を伸ばした結果ではありません。あくまでも日々の丁寧な積み重ねが、自然と距離を引き上げていったのです。

最も大切だったのは、焦りを捨て去ること。速さを追い求めるマラソンだからこそ、ゆっくりと階段を上るような慎重さが必要です。派手な特訓や革新的なトレーニング方法を追い求めるのではなく、日々の小さな進歩を大切にする姿勢。それこそが、結果として大きな記録更新をもたらしました。

私の経験から確信を持って言えます。マラソンに近道はありません。しかし、誰もが必ず辿れる確かな道筋があるのです。それは地道な基礎練習の積み重ねと、慎重なレベルアップの組み合わせに他なりません。この記事をご覧の皆さん。皆さまの目標タイムは、決して遠くない場所にあります。今この瞬間から、一歩一歩の確かな歩みを始めることで、必ず手の届く場所まで近づけるはずです。焦らず、急がず、着実に。その先に、きっと新たな記録が皆様を待っているでしょう。

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