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【サブエガ・サブ50】フルマラソンで2時間50分を切ったリディアード式練習法の概略

北大と国研で研究している化学系大学院生かめ (D2)です。M1の9月下旬に北大構内でタイムトライアルを行い、自己ベストを11分更新してマラソンを2時間47分で完走できました。

この記事では、サブ50を達成するまでの練習方法の概要をお伝えしていきます。記録向上を目指すマラソンランナーの方々にとって参考になる内容だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

マラソン練習法の全体像

私は、様々なマラソン練習法の中でも、リディアード式に近い方法を採用しました。練習は以下の順序で段階的に進めていきました。

  • ジョグ(全期間)
  • ロングジョグ(序盤~中盤)
  • 起伏走(中盤~終盤)
  • ダッシュ(中盤~終盤)
  • インターバル(終盤)

それでは、各段階の練習内容について詳しくご説明していきます。

ジョグ(全期間):堅固な練習基盤の形成

ジョグは、全ての練習の土台となる重要なメニュー。筋肉や腱を強化してケガをしにくい体づくりができるだけでなく、今後実施していく高負荷な練習の質を向上させる効果も。ジョグの主な目的は、練習成果を確実に積み上げていける堅固な土台作り。インターバル走やロング走といったポイント練習だけでは早々に伸び悩んでしまう一方、ジョグで有酸素能力を継続的に鍛えることで、リディアード曰く、無限に走力を伸ばすことができるとされています。

ジョグのペースは、その日の体調に応じて走行中に決定していました。調子が良い日は4分50秒/km以上のペース で、体調があまり良くない日は5分20秒/km程度のゆっくりペースにて。時計の示すペースに過度にとらわれず、無理のない速さで距離を重ねることを心がけました。私の場合、鼻で3回吸って3回吐けるペース、心拍数でいえば130~140bpmを目安にしていました。 ジョグに関しては、ダニエルズのEペース通りに走る必要は必ずしもないと考えています。率直に言って、Eペースは決して”Easy”とは言えません。各自が楽に感じるペースでリラックスして距離を重ねることをお勧めします。

1回の練習時間は約90分に設定。マラソン2時間50分切りを目標としていたため、「目標タイムの半分程度は余裕を持って走れるようになっておきたい」という考えからです。これより長いと翌日に疲労が残りやすい。逆に90分より短いと練習不足感が残ります。様々な時間設定を試した結果、90分という時間が最適だと判断しました。サブ40を狙う今でもジョグ時間90分で変わっていません。

ロングジョグ(序盤~中盤):スタミナとメンタルの強化

ジョグである程度ケガをしにくい体が作れてきたら、次はジョグの時間を延長してロングジョグを実施しました。ペースはジョグと同じかやや遅め。走行時間は120分~180分で設定。ロングジョグには主に2つの目的が⇩

  • 途中で諦めず最後まで練習をやり切るメンタルの強化
  • 長距離を失速せず走り切るスタミナの養成

ロングジョグの頻度は週1回程度。私の場合、ロングジョグを週2回実施すると回復が追いつかずケガのリスクが高まります。週1回のロングジョグを確実にこなしてケガを防ぎつつ強化していきました。スタミナに対する自信を得るため、2回ほどジョグペース(4分45秒/km前後)で50km走を行った経験があります。いま、振り返ってみると、この練習は必ずしも必要ではなかったかもしれません。というのも、そこまでの効果を実感できなかったためです。50km走を実施してから2~3週間はむしろ、疲労で動きが著しく低下してしまいました。これだけ疲労をためた分に見合うスタミナ向上効果は無かったでしょう。50km走ではなく2時間50分走でも同等の効果が得られたのではないかと考えています。

起伏走(中盤~終盤):高心拍への順応と脚の強化

次の段階として取り入れたのが起伏走。急勾配の道を2時間以上走り続ける、いわば”ロングジョグの強化版”とも言える練習です。起伏走には主に2つの目的が:

  1. 上り坂での高心拍状態での走りに慣れること(後のインターバル練習への準備)
  2. 上り坂で足首や膝裏の柔軟性を養い、下り坂での着地衝撃で大腿部前面と膝周りの強度を向上させること

シューズは、ライトレーサー3という比較的薄めの練習用シューズを使用。私の場合、厚底シューズよりも薄いシューズの方がケガの発生率が低い傾向にあったため、長距離走行時でも基本的に薄めのシューズを選択しました。

起伏走を継続的に実施することで、通常のジョグが格段に楽に感じられるように。また、膝下の筋肉の柔軟性が向上し、ケガへの不安も大幅に減少しました。下半身の筋肉がキュッと引き締まった。脱力した状態でも以前より効率的な推進力を生み出せるフォームが身についてきました。私の住む札幌の市街地には適度な起伏が少ないため、坂道を求めて熊の出没エリアまで足を運んで練習していました。幸い、熊との遭遇はありませんでした。山間部での練習をされる方は、熊鈴や唐辛子スプレーなど、安全対策を十分に施してから臨まれることをオススメします。

ダッシュ(中盤~終盤):最大出力の向上

インターバル走を行う前に、まずはダッシュを取り入れる期間を設けました。この時点ではまだ速い動きを練習に組み込んでいませんん。フォームが何だかもっさりしていたのです。仮にインターバル走を実施しても、満足のいくペースで追い込めないだろうと判断しました。まずは速いペースに体を慣らす。速さに適応し、筋肉や心肺機能を強化してからダッシュを行いました。

ジョグ後にダッシュを3~5本実施。体に適度な刺激を与えてから練習を終えるようにしました。ダッシュは土トラックの直線を利用。約85mを9割程度の力で走り、カーブでは歩いて息を整えました。ダッシュを重ねるごとに最大出力が向上しました。よりスピーディーでダイナミックな走りができるようになっていきました。ダッシュの際、心拍数が完全には低下していない状態で次のダッシュを行っております。よって、最大酸素摂取量 (VO2max) へもある程度の刺激が入ったのではないかな、と。

CVインターバル(終盤):LT2とVO2maxの段階的な強化

ダッシュでスピードに自信がついてきた段階で、最終段階となるCVインターバルに移行。CVインターバルとは、10kmのレースペースでのインターバル走。CVペースは、このペースは、ダニエルズ理論でいうTペースとIペースの中間に位置。速すぎず遅すぎもしない、あまりにも絶妙な強度。事前に10,000mのタイムトライアルを実施。タイムトライアル結果は36分31秒。キロ換算だと3分39秒/km。このタイムを軸にトレーニングペースを設定して練習しました。

CVペースはTペースとIペースの中間的な強度。一度の練習でLT2とVO2maxへ効果的に刺激を入れることが出来ます。両者の能力値を総合的に高めていくため、能力の著しい向上は見込めません。即効性のない練習だけれども、継続的に実施していけばケガを防ぎつつ、着実に能力が向上していきます。主なトレーニングバリエーションは以下の通り⇩

  • 1,000m×7本(休息60秒)
  • 1,600m×5本(休息90秒)
  • 2,000m×4本(休息120秒)

これらの中からその日の体調に応じて練習メニューを選択し、確実にクリアできるペース設定で実施しました。

私の当初のCVペースは3分40秒/km。2ヶ月間で8回ほどCVインターバルを実施した結果、最終的には3分35秒/km前後で2,000m×4本をクリアできるように。一回の練習におけるペース向上幅はごくわずか。先述の通り、CVインターバルを毎週継続的に行うことで無理なく能力を高められました。CVインターバルは、LT走やVO2maxインターバルよりも練習前の精神面への負担が軽かったです。そこまで苦しくない練習だから、「今日はCVインターバルの日か…」と落ち込まなくても良いんですよね♪

おわりに

以上が、フルマラソン2時間47分を達成するまでの練習方法の概要です。

現在はこの練習法をベースに、ペースを上げてマラソンサブ40を狙っています。サブ40を達成し次第、記録を更新した練習法を当サイトにてアップするつもりです。

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