私は札幌に住む現役理系大学院生である。
長期休暇で実家の広島へ帰る際、いつも青春18きっぷを利用し3~4日ほどかけゆっくりと帰省している。
飛行機ならばCTSとHIJを2時間程度で結んでしまうが、その便利さを取らず、あえてノロノロ帰るところに大きな魅力を感じている。
18きっぷ旅の魅力をもっと広めたいと思ったので、この記事では、私の思う青春18きっぷ旅の3つの魅力を書き記していくことにする。
それでは早速始めよう。
通り過ぎる風景を延々と眺め、心を新鮮な状態に戻すことができる
2020年8月 宗谷本線。奥に見えるのは利尻山。
青春18きっぷ旅の一つ目の魅力は、普段見慣れない自然豊かな風景を延々と眺められる所である。
東海道線や山陰本線など臨海部の路線に乗れば眩いばかりに輝く海を見られるし、東北本線や山口線など山間部の路線に乗れば濃くて豊かな山中を疾走できる。
私は普段、都会の中で暮らしているためそこまで自然に触れる機会がなく、18きっぷ旅にて自然の中で列車に揺られると(あぁ、キレイだなぁ…)と荒んだ心が磨かれていく。
長距離フェリー旅行でもかなり心をリフレッシュできるが、海も山も見られるという点では18きっぷ旅の方が圧倒的に魅力的だと感じている。
こうお思いの方がいらっしゃるかもしれない。
確かに山陰本線(特に出雲市-益田)乗車時など、何時間も海ばかり見ていて飽きが生じてくることもあるにはある。
一方で、海の上を鳥が飛んでいたり、山林が風で揺れていたりと何もかも全く同じ風景など在り得ないので、わずかな違いを見つけてはそれに喜びを見出し、ワクワクを絶やさないようにすることは極めて容易だ。
暇つぶし品が必須なフェリー旅と違い、18きっぷ旅では多様な風景を味わえるため暇つぶし品は一切不要である。
一人旅でも十分楽しめるし、カップルやご夫婦など複数人での旅も風景をネタに会話できるので、だれがやっても面白いのが18きっぷ旅の大きな魅力だと感じる。
乗車地域の地元民の会話(方言)を聞くのが大変面白い
青春18きっぷ旅の二つ目の魅力は、その土地にお住まいの方の様々な会話を聞ける所だ。
おじいさん・おばあさんからは方言バリバリでちょっと何言ってるか分からない会話を楽しめるし、通学時間に合わせて乗れば学生からその土地の流行りに関する情報が得られる。
札幌から徐々に南下していくにつれ、ほぼ同じ時期なのに一言目の会話が全く異なっているのが何とも興味深く感じられる。
たとえば、年末に帰省した時、東北・北海道地方では「今日は寒ぇね」から会話が始まっていたのに、東海・近畿地方では「今日は暑いなぁ」と真逆の会話をしている点などである。
また、日本縦断では様々な方言を聞けるため、スピードラーニングの要領で聞き流すだけでちょっとした方言マスターになることができる。
18きっぷ旅で覚えた方言としては、
- がんばっぺし! (頑張ろう, 岩手弁)
- ちょびちょびしないで! (ちょっかい出さないで!, 静岡弁)
- ○○っちゃけど (○○だけど, 福岡弁)
などが挙げられる。
(註:ここからは広島弁&標準語)
広) なお、うちゃ広島出身じゃけぇ普段広島弁を話すんじゃが、広島弁がどのエリアまで話されとるかを耳で調べるのが毎回の帰省の楽しみなんじゃ。
標) なお、私は広島出身なので普段広島弁を話すのだが、広島弁がどのエリアまで話されているかを耳で調べるのが毎回の帰省の楽しみなのだ。
広) うちの体感的にゃあ、東は岡山~相生駅、西は下関~小倉駅あたりが広島弁とほかの方言との境界じゃと考えとるが、みなさんが中国地方を訪れた際に境界を調べてみたらひょっとすると別の結果が得られるかもしれん…
標) 私の体感的には、東は岡山~相生駅、西は下関~小倉駅あたりが広島弁とほかの方言との境界だと考えているが、みなさんが中国地方を訪れた際に境界を調べてみたらひょっとすると別の結果が得られるかもしれない…
(広島弁、おしまい)
長時間乗車後に半端じゃないほど大きな達成感が味わえる
2020年12月 東京→広島 1dayロングラン。朝4時40分ごろスタートし、広島駅に着いたのは20時半ごろ。
青春18きっぷ旅の3つ目の魅力は、超ロングライドをした後に改札を出ると、ものすごく大きな達成感が得られる所だ。
私の一日の最長乗車時間は東京→広島の約16時間であり、日の出前から日没後までずっと電車に乗り続けるかなりタフな旅だった。
しかし、広島駅で18きっぷを提示して改札を出ると、(オレはこんなに長い距離を鈍行で走破したんだ…!)と大きな充実感が湧き上がってきた。
初めての18きっぷ旅でこの感覚を味わって以来、18きっぷ旅の中毒者となり、長期休みの度に18きっぷを買っては長時間電車に揺られる旅を堪能している次第である。
なお、あまりにも長時間動かないせいで、私の場合、18きっぷ旅期間中は必ずと言ってよいほど便秘気味になる。
加えて、座骨や腰もかなり痛くなるため、たとえ座席が空いていてもあえて座らず、片足スクワットやつま先立ちをして血行促進するよう心掛けている。
ここまでして18きっぷ旅を続ける理由は、何といっても超楽しいからだ。
飛行機や新幹線などであっという間に目的地に着くのも一つの手かもしれないが、18きっぷ旅では目的地にたどり着くその過程自体が大きな魅力に溢れているのだ。
最後に
青春18きっぷ旅の3つの魅力に関してはコレで以上となる。
JRの経営悪化に伴い青春18きっぷもいつまで利用できるか分からない状況なので、読者の皆さんには18きっぷが使えるうちになるべくJRを利用していただきますよう何卒お願い申し上げます。