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【体験記】沖縄100Kウルトラマラソン2022 レース当日の一部始終

レース前半

コース&アクセス | 第5回沖縄100Kウルトラマラソン【公式】 (okinawa100k.jp)

最初の1kmを6分で通過

案の定、周りのランナーは超ハイペースで突っ込んでいきました。

ただでさえレースという事で興奮状態にあるのに、暗闇により景色の過ぎ去る調子が普段と違うから体感ペースが狂っちゃうんです。

4年前に沖縄100Kへ参加した時、私はこの事を知らず、周りと一緒になって予定ペースより大幅に速く走っていました。

(ヤバい、速すぎた…!)と気づくまでなんと5kmもかかってしまいまして、それ以降もあまりペースを抑えられず、オーバーペースで余計に足を使って後半に大失速してしまいました。

サブ10浪人生として迎えた今回はその苦い教訓を踏まえ、レースを意図的に超スローペースで入りました。

最初の1kmは6分ちょうど。50人近くに抜かれながらも自分のペースを貫きました。

とはいえ、サブ9を達成するにはチンタラ走り続ける訳にもいきません。

そこで1km通過後はするするっとペースを上げ、次の1kmから予定ペースの5’10″/km付近で巡行しました。

 

5km〜:私と同じペースで走る2人組ランナーと集団走

スタートから20分過ぎにはランナーが前後にばらけてしまい、私は1kmほど暗い夜道を単独走しておりました。

5kmを過ぎたあたりでしょうか、後ろから男女2人組のランナーさんたちが賑やかに談笑しながら近づいてきました。

彼らの話をそばだててみると、「24時間走が云々…」と聞いちゃいけない異次元の話が聞こえました。

(もしかして「先週100mile走った」と仰っていた方だろうか?)と思って後ろを振り返ってみると……大正解です。2週連続でウルトラに挑む女性とそのご友人が2人で走っておられました。

彼らは異次元のスタミナを有していますから、”私なんてあっという間に抜き去っていくだろう”と考えていました。

しかし彼らも誰かと走りたかったのか、私を抜かず、むしろペースを落として一緒に集団走を始めました。

賑やかに話す方が近くにいると、元気を分け与えてもらえる気がします。

だからレース中に並走して下さって本当に力になりました。

彼らとは数kmごとに阿吽の呼吸で先頭を代わり、引っ張り合いながらレースペースを維持しました。

お二人もサブ9を目指していたようで、一緒に目標を達成すべく共闘を誓い合いました。

 

13km:最初の激坂に差し掛かる

しばらく平坦な道を進んでいると、13km過ぎに突如急坂が私の目の前へと立ちはだかりました。

かめ
やっと沖縄100Kが始まったな!

こう思って激坂を上り始めました。

練習で勾配20%以上の超激坂を何度も上り下りしていたおかげなのか、1km近く続いた上り坂が大してキツくありませんでした。

人間の成長ってすごいですね。4年前は歩いて上っていた坂を今回はスタスタと駆け上がれました。

ただ、私と一緒に走っていた2人組ランナーは私よりハイペースで登坂しました。

気付いたらあっという間に置いて行かれてしまいまして、平地で少しペースを上げることでどうにかお二人に追いつきました。

 

20km:海沿いを走って冒険気分

その後も断続的に訪れる起伏を一つずつクリアし、20km過ぎから海岸線を沿うように走って間近で沖縄の海を感じました。

途中、行く手を草がふさいでいる箇所がいくつかあり、そこを手足でかき分けながら開拓者気分でゴール目指して進みました。

こんな経験はウルトラやトレランでしか絶対にすることができません。

終始整備された舗装路を走り続けるフルマラソンって何だかあまり面白味がなく、こうしたサプライズがあるから(またウルトラに出たいな)と思えるわけです。

20.8kmのエイドを過ぎた直後のトイレで、スタート直後から我慢していた用を足してスッキリしました。

それまでにもエイドでトイレに行こうと思っていたのですが、もしそこでトイレに行くと集団から外れて単独走を強いられ、暗い夜道でコースを誤り迷子になる危険があるから行かなかったのです。

トイレを出てレースに復帰すると、さっきまで一緒に走っていたランナーさんたちが遥か彼方まで行っちゃっていました。

既に辺りが明るくなり始めていたのでまだ事態はマシなものの、しばらく一人旅をすることになってしまってペース調整に苦慮しました。

 

30km:ふくらはぎの様子が少しおかしくなってきたぞ…?

30km地点を予定通り5’15″/kmペースで通過しました。

少しずつ足に疲労がたまってきたのを感じ、気分転換としてウエストポーチに入れていた補給食を摂りました。

ここでは前日受付にて配布されたMCTゼリーを食べました。

MCTオイルは脂質を燃えやすくするサプリメント。脂質燃焼優位のエネルギー生産サイクルに切り替えることで、体内での備蓄量に限りがある糖質を終盤まで温存することが可能です。

本レース中に何かを口に含んだのはコレが初めてでありました。

それまではペース維持に神経を使いすぎて何も食べる気が起こらなくて、ついうっかり補給を疎かにして30kmまで来てしまっていました。

補給すべきなのにしなかった影響か、右足のふくらはぎの様子が少々おかしくなってきました。

坂で足を使いすぎたわけじゃありませんから、おそらく発汗により少々脱水気味になっていたのではないでしょうか?

そこで、35.5kmのエイドではスポーツドリンクを2杯飲み、加えて黒糖も1個頂きました。

すると足の違和感が一気に落ち着き、無事にレースを続行することができました。

腰に巻いたウルトラライトダウンが大量の汗を吸っていました。アレさえ巻いていなければもう少し発汗量を抑えられたと思います。

 

35km:「60kmまではウォーミングアップ」と聞いてスイッチが入る

レース序盤に並走した2人組ランナーの男性(Hさん)の方と35kmあたりで再会しました。

そこから約8kmほど同じペースで一緒に走り、大学のことやお仕事のことなど色々なテーマで話をしました。

私はいま北大大学院の修士2年生で、社会の事、特に外資系企業のことなどからっきし見当がついていません。

しかし、実際に外資に勤めるHさんが私にお給料や外資の魅力などを教えて下さり、そのおかげで少しだけ”外資に勤めるってどういうことか”が見えてきたような気がしました。

また、Hさんが「ウルトラは60kmまでがウォーミングアップっすよ」と仰るのを聞き、(そうだよな、こっからが本番だよな!)とようやく自分のやる気スイッチが入りました。

”50kmでリタイアしても良い”と逃げ道を用意してスタートしたものの、

かめ
こんな中途半端なところで終わってたまるか。何をしに沖縄まで飛んできたんだ、ニライカナイで海を見るためじゃないか!

と逃げ道をひと思いに断ち切りました。

42.195kmを3時間45分ぐらいで通過。43.1kmのエイドでHさんと離れ、そこからフィニッシュまで長い一人旅が始まりました。

オーバーペースだけには注意して、『90kmから本気出す』を合言葉に力の温存に努めました。

 

中間地点付近:息もできないほどの向かい風に苦しむ

中間地点が間近に迫り、(後半戦も頑張るぞ!)と戦意で燃えていた時のことです。

前方から猛烈な向かい風が吹き始め、油断していた私はほんの一瞬だけ呼吸が止まってしまいました。

あまりに突然だったので、つい不意を突かれて死にそうになりました。

その後も強い逆風に向かって走り続け、中間地点到着時にはヘロヘロになっておりました。

後半はこの北風をまともに浴びながらゴールを目指す必要があります。

(ホントに大丈夫かな、ゴールできるかな…)と少々不安になりはしたものの、スタート時に比べ1億倍まで高まった戦意が私に【レース続行】の決断を下させました。

中間地点に到着後、ボランティアスタッフのお嬢さんから預けたドロップバッグを受け取りました。

腰へ巻いたダウンをバッグにしまって腰回りを快適にしたり、レース中に補給した補給物を補充したりして後半戦へ向け態勢を整えました。

体力と筋力と気力の残量は以下の通りでありました⇩

  • 体力:40 %
  • 筋力:40 %
  • 気力:120 %

肉体的にはかなり消耗していて練習時なら”もう終わろう”と決断するほど疲れていましたが、メンタルが相当元気 (100 %超えてます笑)だったので、”足が終わったら気力で走るぞ”と自分を奮い立たせて地獄の後半へと向かいました。

2 件のコメント

  • 改めてお疲れ様でした!
    私は初ウルトラでサブ10目標と亀さんとはターゲットのレベルは違いましたが、ブログを拝読させて頂き、当日の地獄のようなレースを思い出して涙が出てきました。ブログにも登場させて頂き嬉しいです 60kmまではウオーミングアップ、って偉そうですみませんでした(笑) 今後の投稿も楽しみにしていますね

    • ひでおさん、またまたコメントありがとうございます。
      初ウルトラだったのですね。キロ5分10秒ペースでかなり余裕そうに走っておられたので、私と同じくサブ9目標なのかと思っておりました。

      勝手ながら、ブログにも”Hさん”としてご登場いただきました。
      ひでおさんが「60kmまではウォーミングアップ」と仰ったのを聞いたおかげで私のやる気スイッチが入りましたし、長い間話しながら一緒に走って下さり本当に感謝しています^^

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