先日、就活体験記三部作の前編を公開した。
今回は中編として、
- 企業説明会
- 就職と進学の葛藤
これらについて記していく。
Contents
企業説明会
私は2か月で計8社の会社説明会へ参加した。
その内訳としては、マイナビで見つけた会社が3社、そしてTECH OFFERからオファーを受けて参加した会社が5社である。
有難いことに、TECH OFFERでは35社から「会社説明会に出てみませんか?」とのお誘いを受けたのである。
しかし、
- オファー受諾後、急に相手からの連絡が途絶えてしまったこと
- 事前に日程調整をさせて貰えず、会社説明会開始10分前に会社説明会のリンクが送られてきたこと
などといった理由から、まともに会社説明会参加までこぎつけられた会社の方が少なかったのであった。
いくら会社ホームページ(HP)がオシャレでも、人事部の社員が就活生とまともに連絡を取り合えないようではその会社のレベルなどたかが知れている。
どこの会社説明会に参加しようか迷う手間を省けためむしろ好都合だと思ったし、腹立たしいどころか反面教師とする教材が増えて感謝しているぐらいである。
以下では、説明会/個人面談参加した8社のうち、特に印象に残っている4社について記していく。
なお、便宜上、会社名はA社, B社, …などのようにアルファベット表示する。
A社:手袋専業メーカー(個人面談)



初めて参加した説明会は、創業以来、手袋のみを作り続けている企業の個人面談であった。
面談の前に企業HPで情報を仕入れ、A社の企業理念や会社の規模について、綿密に企業分析しておいた。
また、(A社を知るにはA社製造の手袋を買って使ってみた方が良いだろう)と考え、Amazonで雪かき用の手袋を買い、実際に使ってみることにした。
外側の防水や滑り止め加工のおかげで暴風雪の中でも作業できたし、内側のボア素材のおかげで手先を冷やさず快適に雪かきを終えられた。
その手袋の使い心地に圧倒され、(この商品を作る秘訣を知りたい!)と強く感じるようになっていった。
その思いを個人面談で相手にぶつけ、かなり好印象を得ることができた。
面接では、A社の製品の高品質の秘訣について、かなり詳しく教えて頂いた。
しかし、私が




と質問した所、あまり満足な答えを得られなかったため、将来性について不安を感じ、A社の選考フローに乗らない決断を下したのであった。
B社:素材の表面処理をするニッチなメーカー(説明会)



次に参加したのは、マイナビで徹底的に希望条件にこだわり見つけた企業である。
- 中小企業で
- 研究室での勉強内容をそのまま活かせられ
- 常にスキルアップに励めそうな環境が整っており
- なおかつ暖かい所に工場がある
このように、B社は上記4条件が揃った最高の環境だったわけである。
唯一気がかりだったのは、会社の先輩社員紹介ページに出ている方が私よりかなり低学力だった点である。
旧帝大出身者は一人もおらず、名前を書けば入れる大学出身の方が多く見受けられたため、(入社後に共通の話題を見つけられるかなぁ…)と、一抹の不安を抱えていた。
しかし、いざ会社説明会に参加してみると、私の偏見を恥じる事となった。
B社なしでは日本の大企業の多くが操業停止してしまうほどの圧倒的技術力を誇っていたし、“社会に出れば学力より実績が大事なんだ”と、ガラリと価値観を一変させられたのである。
それに加え、社員さんの温かさには大変心が癒された。
進路選択について相談を持ち掛けると親身に一緒になって考えてくれ、(自分もこんな大人にならなきゃなぁ…)と、優しさで思わず涙をこぼす所であった。
C社:私の地元の自動車メーカー(リクルーター面談)



3つ目に印象に残っているのは、私の地元に本社を構える自動車メーカーである。
ずいぶん前にマイページを作成し、そのページの存在すら忘れかけていた所にリクルーター面談のお誘いが来て、(まぁ, 地元の企業だし話だけでも聞いてみるか)と思い、面談をセッティングして頂いたという成り行きである。
私はC社の車が本当に好きで、もし自動車会社へ行くならC社一択だと考えていた。
C社に入れば社割でC車が買えるし、リチウムイオン電池に関する研究をやっていた私は今後電気自動車に注力するC社に必要な人材なのではないかと思っていた。
面談の感想としては、(たぶんC社には行かないだろうなぁ)といったものであった。
なぜなら、私の実家とC社があまりにも近く、社員寮の入寮条件を満たせないと知ったためである。
まぁ、C社の給料は高いため、地元でアパートを借り、一人暮らしすれば良いのであろう。
しかし、それでは大企業ならではの潤沢な福利厚生費を存分に活用できず、C社に入る旨味を感じなかったのである。
それに加え、私は自動車の運転が超苦手である。
自動車学校の路上教習は一瞬たりとも面白いと思えず、常に恐怖心と闘わねばならぬ有様だったため、C社に入ってもおそらく自転車通勤をするだろうし、運転が苦手な人が運転好きのための自動車を作れるわけがないと考えたのである。
D社:ニッチな業界を世界規模で攻め続ける化学系企業(説明会&インターンシップ)



最後に印象に残っているのは、大企業並みの規模感を誇る最強の中堅企業である。
従業員数としては1000人もいない企業なのだが、ニッチな業界をハイスピードで開拓し、先行者利益をガッポリ稼ぐ業態のため、営業利益率が5年連続20%オーバーという信じられない優良企業であった。
(どうしてこんなに稼げるのか?)と興味が湧いたため、会社説明会で実際に話を聞いてみた。
そして、もっと知りたいと思った点について3つほど質問させてもらい、(こんな成長企業へ入ったら面白そうやなぁ~)と益々興味が湧いたのであった。
説明会の翌日、D社の人事部から「インターンシップ(IS)に参加しませんか?」とのお誘いがあった。
二つ返事で快諾し、更に詳しく企業分析を行っていった。
そして迎えたIS当日、私は度肝を抜かされることとなった。
というのも、ISが始まって初めてグループディスカッション(GD)があると知ったからである。
ただでさえネット上でのコミュニケーションは苦手なのに、それを複数人&時間制限のもと行うなど不可能ではないかと考えられた。
しかし、今更GDからは逃げられず、腹をくくって議論に参加したのであった。
初めてのGDの感想としては、(GDなんてもう二度とやりたくない)といったものであった。
誰かと声が被るのを恐れて話し出すタイミングを窺っているうちに他の人だけで議論が進んでいってしまったし、何を言っても「いや, それは違うんじゃないですか?」と否定され気分がネガティブになっていった。
このGDの影響で、D社に対するイメージまで評価がガタ落ちする事となった。
また、ネット上の口コミサイトを覗いてみると、D社の基本給の低さに呪詛の念を漏らしている方を多数お見かけしたので、




と落胆し、D社の選考を受けない決断を下したのであった。
就職と博士進学の葛藤



8社の説明会に参加したのち、あらためて就職と博士進学を天秤に載せてみた。
しかし、まだどちらかにガクンとは傾かず、就職と進学とでユラユラ揺れた状況だった。
就活をした最大の収穫は、(企業で働いてみるのもなかなか悪くないんじゃないか?)と思えるようになったことである。
全てオンラインでの参加だったため会社の工場の雰囲気は味わえなかったのだが、より消費者に近い所で社会に必要なモノを作れるのは大学にはない魅力だなぁと心から感じ、就職に対する活性化エネルギーは大きく低下した状況であった。
一方で、就活をすればするほど、「まだ大学でやり残したことが沢山あるじゃないか!!!」と、心の叫び声が強まっていった。
ようやく研究が面白くなり始めた所で就職するのは非常に悲しい気がしたし、せっかくNature級の研究成果を出せているのにドクターに進まないなど勿体なさ過ぎるなぁと思ったのである。
うじうじ悩んでいても仕方がないので、とりあえずどこかの企業へ履歴書とエントリーシートを出してみる事にした。
少し悩んだのち、上記のB社に応募すると決め、せっせと書類を作成し、レターパックに入れてB社へと郵送したのであった。
次回予告
就活体験記三部作 中編に関しては以上である。
後編では最終面接をめぐるアレコレについて書く予定である。