【博士課程】経済的な問題が解決した今、進学を思い留めている3つの障壁

私は札幌に住む現役理系大学院生(M1)である。

JST次世代研究者挑戦的研究プログラムに採択され、博士生活における経済的な問題を完全に解決する事に成功した。

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2021-12-30

指導教員にも「博士へ行きます」と宣言し、本当ならば研究に専念すべきはずなのである。

だが、どうも最近(博士に行ったらヤバいんじゃないか?)と考えるようになり、しまいには研究が手につかなくなってしまった。

この記事では、経済面以外で私の博士進学を妨げている3つの障壁について書いていく。

博士進学を悩んでいる人、前向きに検討している人にピッタリな内容だと思うので、是非最後までご覧頂きたいと思っている。

 

それではさっそく始めよう。

もし実験装置が壊れたら…?

私が研究で使用しているのは、製造から15~20年経った年季物である。

装置自体はまだ元気バリバリに活躍しているのだが、装置を操作するためのPCがいつフリーズするか分からない状況にある。

学部・修士の2年間で既に2回の強制シャットダウンを経験しており、動作がどんどん遅くなっていっているのを感じている。

PCの負荷を減らすため、得られたデータをすぐハードディスクに保存して削除するなど工夫はしている一方、その努力をあざ笑うかのように画面が頻繁に固まり、実験の進行スピードがみるみるうちに低下していっているのである…

 

仮に実験装置が壊れた場合、博士論文の核となるデータを得られなくなるため修了が一気に危うくなってしまう。

また、その装置はもうメーカーで取り扱っておらず、装置を修理してくれる方も存在しないので、壊れたらその時点でゲームオーバーなのである。

おまけに、私の装置は数千万円近くする高級品だから、壊れてもそう簡単に新品に取り換えられるわけではない

(だったら壊れないよう丁寧に扱えばいいじゃないか)とお思いかもしれないが、いくら丁寧に扱おうとも壊れる時は何の前兆もなしに壊れるので、博士課程を修了できるか否かは運任せとなってしまう訳である。

いくら生活面に不安がなくとも、装置面での不安は尽きる事がない。

私の実験は材料や手法ではなく”装置”に新規性を求めているため、肝心の装置がぶっ壊れる心配をするがあまり、博士進学をためらい始めたのである。

もし装置が壊れても、最悪、第一原理計算などの理論計算に実験をシフトし、博士号取得へとこぎつければいい。

そのような事は頭で分かっているのだが、プログラミングに挫折した私に理論計算が向いているとは到底思えず、装置が壊れた時について考えるとゾッとしてしまう訳である。

 

3年間で3本論文を書ける自信がない・気力を保てる気がしない

私はB4の3月に論文を出し、2本目の論文も今年の前半にはアクセプトされるであろう。

傍から見たら1年に一本のペースなので(順調じゃないか)と思われがちだが、2本目の論文を作成し始めてから既に4か月以上が経過しており、既に相当疲弊している現状である。

私は現在修士1年のため、いま一生懸命書いた論文は博士の修了要件にカウントされない。

それでも論文を書いているのは学振DCやJASSO第一種奨学金の返済免除を勝ち取りたいからであり、休日や身を削ってキーボードを叩き続けているのである。

実験をして何か新しい事を発見するのは本当に楽しいと思っている。

一方で、その成果を論文にまとめるのはあまり面白いとは思えないし、(論文執筆なんて実験の楽しさを相殺する罰ゲームじゃないか…)とすら感じてしまう

また、博士号を取得するには最低でもあと3回はこの論文執筆という辛い時期を経験せねばならず、その間に蓄積するであろうストレスに耐えきれる自信がどうしても湧いてこないのである。

現に、大学受験合格後、しばらく燃え尽き症候群のような症状に襲われた経験があるため、自分がいつ燃え尽きてしまうか、戦々恐々としている状態である。

 

博士進学を決意した時、私の中には(絶対博士号を取りたい!)と思う源泉のようなものが存在した。

  • 今の実験が楽しいので、もっと突き詰められる時間が欲しい
  • 海外でも活躍できるよう、国際的に認められている称号が欲しい
  • “他の修士学生とは違うんだぞ”と、学歴で自身を差別化したい

など、博士進学を支える強いモチベーションが私の心で湧き上がっていた。

けれども、コロナ騒ぎのせいで留学にも対面学会にも行けなくなったり、博士取得者に対する日本国内での冷遇を知ったりする事で、今では (絶対に博士号が欲しいんだ!) と思わなくなってしまった

特に、コロナ騒ぎにおいて、本来は世の中に真理を伝える役目を担うはずの大学までもが世間と一緒に”カンセンタイサク”しているのを目の当たりにし、

かめ
何が”学問”だよ笑。データを見ずにテレビを見て、偏向報道で一緒に煽られているだけじゃないか…

と、教育と学術への信頼をすっかり失う事となった。

研究に対するモチベーションがどんどん減退している今、そもそも博士号を取る意味はあるのか?と自身に問い直す所まできてしまったわけである。

このようなモヤモヤを抱えているから博士進学に踏み切れないし、(もし踏み切ったとしても良い結果をもたらさないだろう)と考えざるを得なかった。

 

実は既に持病が取り返しのつかないところまで悪化している件

このブログを昔からお読みの方はご存知だと思うが、私は一つ、脳に重い障害を抱えている。

医学用語で“ミソフォニア”と言い、日本語に訳すと「音嫌悪症」という訳語が振り当てられている。

ミソフォニアとは、ある特定の音を脳が適切に処理できず、その音が引き金となり、急に感情を抑えられなくなってしまう障害の事である。

私の場合、人が鼻水をすする音or咳ばらいをする音を頻繁に(10秒に一回程度)出されると、たちまち頭がバグってしまう。

ミソフォニアのせいでその場でつい舌打ちをしてしまった経験があるし、相手に迷惑をかけぬよう、そっとその場から立ち去ってしまったケースもある。

つまり、密閉空間で人と一緒にいる事がどうにも耐え難く、今まで誰かと一緒に旅行へ行った事がないのもコレが原因なのである。

 

私の中でミソフォニアの症状が顔を出したのは高校2年生の頃だった。

席の隣にずっと鼻をスンスンすすっている学生がいて、その音をずっと我慢して聞いているうちに症状がどんどん悪化してきた。

大学に入学後、一時はその症状が立ち消えたかに思われた。

しかし、冬になって多くの学生が鼻水をすすり出すとたちまち症状がぶり返してきて、生き地獄を味わう事となったのである。

研究室に配属され、恐れていた密閉空間での生活が始まった。

予想通り症状はみるみるうちに悪化して、居部屋へいくのがどんどん億劫になっていった。

また、今まで嫌なのは”鼻水すすり音”だけだったのに、あまりに頻繁に咳払いをする人によって、その音までも脳をおかしくさせるトリガーとなってしまった。

(いつ私の嫌な音が飛んでくるか)とビクビクしながら生活しているため疲労やストレスも相当なモノであり、今や取り返しのつかない所にまで持病が悪化しているのである…

【音が怖い】ミソフォニア(音嫌悪症)を患うとどうなるか、体験談から語ります

2021-04-24

 

博士課程に進んだ場合、甚大なるストレスを忍びながら、最低3年間は密閉空間で耐え忍ばねばならなくなる。

今でも割と限界に近いのに、自身を追加で3年間も過酷な空間に晒してしまえば復帰困難なほど心身を損傷してしまう可能性がある。

まぁ、修士で就職し、企業に勤めた場合でもミソフォニアに悩まされる事となるだろうが、工場など作業音のする所で働ける職種とかテレワークが可能な業種とかに進めば何の問題もないと思う。

ただ、そういった職種に進むためには博士号は必要ないし、むしろ博士号保有者はオーバースペックで敬遠されるだろうから、博士号取得の意義をますます見出せなくなってしまったわけである。

博士号を取るためには密閉空間での作業が必要となるのに対し、企業に進めば自身が不快感を感じない環境で働ける可能性がある。

私が進むべき道は、もう明らかなのかもしれない…

 

結局、どうするのか?

私が博士課程進学を思いとどまっている障壁は以上3つである。

まとめると、

  1. 実験装置が壊れた時、研究のコアとなるデータが得られなくなる。数千万円以上する高級品のためそう簡単には取り替えられず、修理もできないので博士修了が危うくなる。
  2. 論文を書き続けるモチベーションが湧かない。コロナ騒ぎやら何やらで、(何が何でも博士号が欲しい!)という強い気持ちが薄らいでいく一方である。
  3. 持病のミソフォニアが順調に悪化中。このまま大学の研究室で作業していると、おそらく社会に出る前に潰れてしまうと考えられる。

このような形となる。

博士進学を完全に諦めてしまったわけではないが、博士進学の可能性は限りなく低くなった。

いくら博士在学中に月15万円お金をもらえるとしても、上記3つの障壁はそう簡単に乗り越えられそうにない。

 

このまま手をこまねいている訳にもいかないので、これから就職活動を開始する。

手始めに、大学推薦カード5枚&自由推薦カード5枚の計10枚の選択肢を用意する。

幸いな事に自身の専門を活かせそうな化学系メーカーが自分の地元に数社あり、しかもその会社には大学推薦を使って採用面接に行けそうである。

推薦を100%アテにするのも危険だと思うから、自由応募でも内定できるように対策を練っておき、自分に合った企業を見つけ、自分なりの幸せを見つけていきたい。

そして、もし企業に全落ちした場合、(博士に行く運命なのだ)と諦め、博士課程へ進学する。

推薦を使って面接に行く企業はおそらく博士修了後にも受けるはずなので、もし修士時代に全落ちしても(いい練習になったわ^^)と気楽に考え、面接経験値を積めた事を喜んでおきたい。

 

以上です。

私が博士課程に進学する3つの理由

2021-11-02

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馬術競技からマラソンに転向した北大工学院のM1|国体馬術競技優勝&8回入賞|10000m36’33”|マラソン2°47’50”|100kmレース10°19’17”|FP&日商簿記3級|英検準一級|TOEIC785点|ラン歴5年|乗馬歴10年|英語の学術論文3報(電気化学)|月間収益3,000円/2万PVのブログ運営中|コメントやご相談はTwitterのDMまでお願いします。