私は現役北大院生(修士)である。
東京オリンピック2021でマラソンが札幌で開催されるにあたり、マラソンコースの一部に私の通う北海道大学が含まれることになっている。
この記事では、現役北大院生、かつランナーである私が、オリンピックについて考えているアレコレについて書き連ねていく。
いくらオリンピックについて一生懸命考えたってオリンピックに出られるわけではないし、金メダルをもらえるわけでもないのだけれど、在学中に自分の大学がオリンピックに直接関わるのも何かの縁だと思ったので、この記事を作ってみようと思い立った。
それでは早速始めよう。
Contents
オリンピックについて考えている事
少なくとも今やるべき事ではない



私はスポーツ観戦が好きである。
ひいきのチームが点を取った瞬間のスタジアムの盛り上がりは鳥肌が立つほど心が躍るし、もし負けたとしてもスポーツ観戦という非日常を味わえただけで胸もお腹もいっぱいなのである。
私の地元・広島にはプロ野球チームの広島東洋カープがあるのだが、カープのホームスタジアムへ一度彼女と試合を見に行った日の夜はあまりに興奮しすぎて寝つけなかったほどである。
それが彼女の影響なのかスポーツ観戦の影響なのかはさておいて、とにかく私はスポーツを見るのが好きであり、スポーツイベントの一環であるオリンピックの開催についても基本的には好意的に捉えている。
しかし、それはあくまでも平常時の話である。
- 世の中がいつもと変わらず動いていて
- オリンピックの開催が市民に悪影響を及ぼさない
以上2条件が揃った時に限り、私はオリンピックをやっても良いと考えている。
こうした条件を付けるのは、(スポーツ選手には申し訳ないのだけれど)我々庶民にとってオリンピックなんて所詮”あったらいいなぁ”ぐらいのものであって、別になくても構わないし、そのイベントのために何もかも全て犠牲にすべきだ!!なんて全く思っていないからである。
現在のような非常事態下で無理やりオリンピックをやる意味が分からない上、オリンピック開催のために様々な所で自粛させられているので甚大な悪影響を被っていると感じているのだ。
オリンピックは今やるべきではないと考える。
世界中から人を招いたら感染爆発が起こるという理屈ではなく、庶民から所望されておらず求められてもいないイベントを国民から吸い上げた税金でやるべきではないと言っているのだ。
自国開催という事で本当ならば声が枯れるまで応援してあげたいのだが、非常事態の元で無理やり開催するのであれば全く応援する気にならない。
私のスタンスとしては、”今やるべきではない”という事である。
ではいつならいいのか?いつでも良いと思う。
いつでも好きな所で思う存分オリンピックをやって頂きたい。
ただし、
- IOCが開催に伴う全てのお金を拠出して
- 誰にも迷惑の掛からない場所(無人島やDASH島)で
やって欲しい。
アスリートファーストなのであれば、当然ながらマラソンは冬季開催にすべきである。
勝手にウチの大学でオリンピックをやるな



次に、私の通う北海道大学がオリンピックのマラソンコースとなった件についてだが、私はこの事に関して大・変・遺憾なのである。
なぜかというと、オリンピック期間の前後はキャンパス内を自由に移動できなくなってしまうので調べ物をしたくなってもできないのは困ってしまうし、本当に世界平和のためにやっているのかどうかも怪しいイベントを学内でやられるのがどうも不快だからである。
私は一応北大生なのだが、キャンパス内でマラソンが行われると知ったのは大手メディアを通じてだ。
数十万円もの高額な施設維持費を支払っている内部生たちに無断で大規模イベント開催を決定するなど、IOCや五輪委員会はいったい何を考えているのだろうか。
もう一つ腹立たしいのは、五輪マラソンが札幌で開催されることが決定した時、北大内の道路の舗装をオリンピック仕様にするために我々が納入した学費が使用された事実についてである。
北大内の道路は毎年補修されており、その補修代は施設整備費から賄われているのだが、2020年3月に行われた道路舗装は通常とは異なり”オリンピックで選手がつまずいてケガをしないようにするため”であるから、私たちの学費を使って整備を進めるのは完全に筋違いだと思うのである。
五輪のせいで中止になった1万人規模の北海道マラソンですら普段通りの補修で十分だったのに、市民ランナーの何倍も屈強なアスリートをなぜ特別扱いする必要があるのだろうか。
オリンピックをやるのは100,000,000歩譲って許すとして、「学費でオリンピックをやるなよ!」と声を大にして訴えたい。
学費でオリンピックをするな
都民税で牛飼うぞ https://t.co/y8B2tlS7UN— ボ藤❄︎ (@BOTO_HANDS) January 15, 2020
学外の方は知らないだろう北大の惨状を以下に記す。
- 北大で最も利用者数の多い北部食堂唯一のトイレが数か月間も使用不可能な状態で放置されている
- 北海道とはいえ真夏には30℃を超えて熱中症患者も出るのに、冷房設備のない建物が大量にある
- あまりにもお金がないので、リストラとか定年退職者の補充をしないとか給料が上がってしまう昇任をストップするとかいった事態が起きている
私は学部時代に工学部へ通っていたが、比較的予算に余裕のある工学部ですら冷房がないので、毎年真夏は暑くて死にそうになりながら講義を朦朧として受講していた。
施設を直したくても直すお金すらないのに、あってもなくてもどーでも良いオリンピックのために1億円に達しようかどうかという整備費を拠出させられた北大が本当に哀れだ。
(旧帝大なのだから少々お金はあるだろう)と思われるかもしれないが、もし本当にお金があるならば研究室統合やリストラなど行わないはずなのである。
先ほども書いたが、オリンピックをやるのは別に構わないので、IOCが全運営費を拠出して無人島なりDASH島なりで開催して頂きたい。
北大というお金にゆとりのない団体から搾り取るのではなく、アメリカの放送局からガッポリとお金をもらっている団体(IOCや五輪委員会)こそが世界平和とやらのために腕を振るうべきだろう。
どうせ道路を直すのであれば、北大内の全ての道路にロードヒーティングを施してくれれば良かったのに。
それこそ五輪の遺産(レガシー)というものだろう。
「オリンピック反対!」とアスリートに叫ぶのはアウト



ここまで五輪反対の立場から散々意見を書いてきた私だが、五輪反対というスタンスを選手に訴えるのは絶対に間違っていると考えている。
以下のtweetを見て頂きたい。これは2021年5月5日に行われた札幌での五輪テスト大会での一幕をとらえた写真である。
ま、気持ちは分からんでもないけど、選手が頑張ってる中でこういうのはどうなんだろうと思ってしまう。#右側の人に注目 pic.twitter.com/TFh6vleMLW
— たなとも/Tana-Tomo🐴🏃🤼@新たなる目標へ (@deep1025) May 6, 2021
実は私、このプラカードを掲げている女性から100mほど離れた所で北大への通学途中に選手たちの奮闘をチラッと観戦していた。
そしてこの女性は選手が通過するたび「オリンピック反対!!」と絶叫していた。
テレビカメラクルーを載せた報道車が通過する際には、カメラへ向かいプラカードを見せつけながらダッシュして自分の政治的考えをアピールしていた。
100mほど離れていてもハッキリと聞き取れる声量だったので、至近距離から罵声を浴びせかけられた選手にとっては猫だましされたかのように驚いたのではないだろうか。
日本は言論の自由が一応は保証されている国なので、オリンピックに賛成だろうと反対だろうと公共の福祉に反さない限り何を考えていても構わない。
しかし、「オリンピック反対!」と選手に向かって訴えかけるのはおかしな話ではないだろうか。
選手にはオリンピックの開催可否を決める権限はないからいくら選手に言ってもまるで意味をなさないし、もし本当に五輪中止へと持ち込みたいのであればIOC事務局に押しかけて会長へ直談判すべきである。
やっていることがちぐはぐな上に、選手にも周辺住民にも不快な思いを抱かせるこうした行為は今後なくなってもらいたいなぁと思った次第である。
私もかつては国体馬術競技の広島県代表選手だったのでアスリート側の気持ちが何となく分かるのだが、もし私が五輪を目指していて、なおかつこうして「オリンピック反対!」と叫ばれたら、(スポーツをやっていて本当に良いのだろうか)とまで思い詰めてしまっていただろう。
世界一を目指して様々な事を犠牲にして頑張ってきているのに、自身の存在理由を揺るがされる選手たちが本当に気の毒で仕方がない。
選手たちには何の罪もないのだから、練習中や競技をやっている最中はどうか温かい目で見守っていて欲しい。
本当に責めを負うべきは”開催都市契約”という名の奴隷契約を結んだ政府である。
最後に
現役北大院生の私がオリンピックについて考えている事はだいたい書き切ったつもりである。
まとめると
- 平常時ならばオリンピックはWelcome。しかし、あまり歓迎される理由のない昨今の情勢を踏まえると、無人島やダッシュ島でIOCの全額拠出の元で開催するのが望ましい。
- 北大内部生に何の説明もなく北大での五輪開催を決められたのは大変遺憾。お金を使う優先順位を間違えないで欲しい。
- 「オリンピック反対!」と言いたいならスイスのローザンヌへ乗り込んで会長に直談判すべき。選手に叫ぶのは迷惑だし意味ないし間違っている。
以上である。
このような記事を作成してもなんら世の中が動かないのは十分承知の上である。
それでもいち北大生として黙っている訳には行かなかったので、私の持つブログというメディアから自身の考えを発信することにした。
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