こんにちは。馬術競技からマラソンに転向した、活字大好き工学系大学院生ランナーのかめ (M2)です。
2022年は合計129冊もの本を読み、知的好奇心を大いに満たすことができました。
この記事では、
- 2022年に読んだ全作品
- 各月に読んだ本の中で最も印象深い本の簡単な紹介
- 2022年に読んで良かった本ランキングBEST5
これら3つについて記していきます。
前置きはこの程度にしておいて、さっそく始めていきましょうか。
Contents
睦月(1月):17冊



- 海外文学:謎とき「罪と罰」
- HowTo:採用基準
- 海外文学:罪と罰 (上)
- 海外文学:罪と罰 (下)
- 人文科学:歴史の大局を見渡す
- 海外文学:浮世の画家
- HowTo:17歳のための世界と日本の見方
- 大衆文学:1Q84 1
- 大衆文学:1Q84 2
- 大衆文学:1Q84 3
- 大衆文学:1Q84 4
- 大衆文学:1Q84 5
- 大衆文学:1Q84 6
- HowTo:EV推進の罠
- HowTo:マツダがBMWを超える日
- 人文科学:人生を狂わす名著50
- HowTo:電力会社のおしごと
睦月はやたら滅多にたくさんの本を読み散らかしましたが、中でも一番印象に残っているのはドストエフスキーの『罪と罰』です。
ナポレオンに憧れ”天才なら凡人を殺しても問題はない”という超人思想を抱いた主人公がおり、そんな彼が刑事にトコトン追い詰められていく際の心理描写が臨場感満載で手に汗を握りました。
この本を読むのは3回目であり、読むたびに”絶対に悪いことはしないでおこう”と気持ちがシャキッといたします。
ドストエフスキーの本の中では比較的読みやすい一冊なので、ドストに挑戦なさる方は罪と罰からお読みになれば挫折せずに済むでしょう。
如月(2月):9冊



- 海外文学:生き抜くためのドストエフスキー入門
- HowTo:20歳の自分に受けさせたい文章講義
- 自然科学:エネルギーをめぐる旅
- 自然科学:電子移動の化学
- 人文科学:人間の建設
- 海外文学:月と六ペンス
- 人文科学:日本国記
- 人文科学:幕末史
- 人文科学:現代語古事記
如月は量より質を重視して、一冊一冊じっくりと読み込みました。
どの本も面白かったですが、中でも『月と六ペンス』は強く印象に残っています。
絵を描くために家族を捨て、至高の高みを目指すためにパートナーとの関わりまでなおざりにしてしまった主人公の狂気には(すごいなぁ)と感心させられてしまいました。
何が「月」で何が「六ペンス」なのでしょうね?夢や情熱が「月」で、それを存命中に叶えられない厳しい現実が六ペンスなのかな…?
弥生(3月):9冊



- HowTo:いちばん大事な生き方は、伊勢神宮が教えてくれる
- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (上)
- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (中)
- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (下)
- 人文科学:14歳からの哲学
- 人文科学:日本人のための第一次世界大戦史
- 海外文学:復活 (上)
- 海外文学:復活 (下)
- 日本文学:音楽
弥生は『カラマーゾフの兄弟』の一か月でした。
上巻は退屈で倒れそうになりながらどうにか読破したのですが、中巻の真ん中あたりから一気に面白くなってきて、下巻の父殺しの被疑者の裁判の場面ではほぼ一気読みしてしまいました。
この本、めちゃくちゃ面白いです。サスペンスや宗教、情欲など、様々な観点から読むことができます。
ただ、一度読んだだけじゃ何が何だかさっぱりだったので、12月にもう一度読んで”何が分からなかったのか”を整理することにしました。
卯月(4月):13冊



- 大衆文学:喜嶋先生の静かな世界
- HowTo:売れる会社のすごい仕組み
- HowTo:祖国とは国語
- HowTo:遥かなるケンブリッジ
- 大衆文学:ノルウェイの森 (上)
- 大衆文学:ノルウェイの森 (下)
- HowTo:良い戦略、悪い戦略
- 日本文学:カンガルーノート
- HowTo:管見妄語 常識は凡人のもの
- HowTo:RANGE 知識の「幅」が最強の武器
- HowTo:食品の裏側
- 日本文学:斜陽
- HowTo:数学者の休憩時間
ドストエフスキーの超大作の読破により先月はあまり多くの本を読むことができず、少々フラストレーションがたまっていたので卯月は13冊もの本を読みました。
比較的内容が軽い本ばかりなので印象に残った本選びに苦労させられましたけれども、村上春樹さんの『ノルウェイの森』の幻想的な描写は何度読んでも好きですね。
この本は大学受験浪人生の時からの長い長い付き合いで、当時は辛くて仕方がない浪人生活から現実逃避するために本が擦り切れるほど読んでいました。
久々にノルウェイの森を読んでみて、(こんな素敵な文章が書けたらなぁ……)と春樹さんの文才に惚れ惚れとしてしまいました。
皐月(5月):11冊



- HowTo:いかにして問題をとくか
- HowTo:お金の減らし方
- 自然科学:燃料電池の基礎
- 海外文学:動物農場
- HowTo:「空気」の研究
- HowTo:お金持ちになれる黄金の羽の拾い方
- 海外SF:アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
- 海外SF:星を継ぐもの
- 海外SF:ユービック
- 海外SF:ガニメデの優し巨人
- 海外SF:すばらしい新世界
GWに岡田斗司夫さんのYouTube動画を視聴してから、急にSF熱に浮かされ始めました。
「SFを読んだら未来を予測する力が付く」と岡田斗司夫さんが仰って、それを鵜吞みにした私は本屋やメルカリにて大量にSF小説を買い込みました。
J・P・ホーガンさんの『星を継ぐもの』もフィナーレにゾクゾクとさせられましたが、ストーリーの面白さという点では『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に軍配が上がるかと存じます。
(人間って何?アンドロイドとどう違うの?人間ならアンドロイドに何をしてもいいの?)などと色々と考えさせられる一冊であり、あまりに当書籍が好きすぎて私が9月に立ち上げた新ブログのタイトルにも使わせてもらったほどであります。
水無月(6月):8冊



- 海外SF:巨人たちの星
- 海外SF:タイムマシン
- 日本文学:センスを磨く文章上達事典
- 大衆文学:時をかける少女
- 海外文学:大いなる遺産 (上)
- 海外文学:大いなる遺産 (下)
- HowTo:20代を無難に生きるな
- 海外SF:幼年期の終り
J・P・ホーガンの”星を継ぐもの三部作”のフォントがあまりに小さすぎた影響で、三部作の”巨人たちの星”を読み終えてから目が疲れちゃって1週間ほど本を読めずにおりました。
視力が十分に回復してから読書を再開し、水無月の下旬に読んだチャールズ・ディッケンズの『大いなる遺産』は上半期で最も感情移入した小説となりました。
この本は主人公のピップの成長を描く教養小説という部類に属し、ピップに対してなされる数々の残酷な仕打ちにはこちらまで憤ってしまいました。
(お金より大切なものって何だろう?)と自分なりに深く考えるキッカケとなり、人生における至上の価値を探して日々黙想を続けています。
文月(7月):11冊



- 海外SF:ルナ・ゲートの彼方
- HowTo:20代だから許されること・しておきたいこと
- 海外SF:未来からのホットライン
- 海外文学人間の絆 (上)
- 日本文学:田舎教師
- 海外SF:大宇宙の少年
- 人文科学::スモール・イズ・ビューティフル
- 大衆文学:夏の騎士
- HowTo:20歳の自分に受けさせたい文章講義
- HowTo:博士漂流時代
- HowTo:さあ、今から未来についてはなそう
文月はSFに飽き始め、純文学の割合が6月よりも増えたように感じます。
架空の世界でストーリーを進められてもついて行けず、感情移入もできなかったし、もっと現実に即し地に足をつけた作品を読みたくなってきたのです。
田山花袋の『田舎教師』はそんな私にピッタリな作品でした。
平凡で結局何もなすことができず、運命に身を任せようと決心した主人公の潔さには大変心を打たれましたし、(何者かにならなきゃ……!!)と絶えず何かに追い立てられていた私の肩を揉み解してくれたようです。
葉月(8月):16冊



- 海外文学:アンナ・カレーニナ (上)
- 海外文学:アンナ・カレーニナ (中)
- 海外文学:アンナ・カレーニナ (下)
- HowTo:なぜオックスフォードが世界一の大学なのか
- 人文科学:一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書
- 大衆文学:新世界より (上)
- 大衆文学:新世界より (中)
- 大衆文学:新世界より (下)
- HowTo:生き方
- HowTo:アカデミアを離れてみたら
- HowTo:10万円から始める!小型株集中投資で1億円 実践バイブル
- 人文科学:史上最強の哲学入門 東洋編
- HowTo:成功の実現
- 日本文学:銀の匙
- 人文科学:荘子物語
- 日本文学:春宵十話
何回読んでも『アンナ・カレーニナ』は飽きません。
これでおそらく5回目の読破になるのですが、読むたびにアンナの登場の場面では「キタ━(゚∀゚)━!!」と興奮してしまい、ドロッドロの人間関係には(またやってるなぁ笑)とニヤニヤしてしまいます。
トルストイは登場人物をまるで目の前にいるかのような臨場感いっぱいに記せる稀代の天才だと思います。
トルストイの『戦争と平和』も好きなんですよね。こちらに関してはアンナよりも分厚いので、春休みなど時間のある時にじっくり読もうかなと思っています。
長月(9月):13冊



- HowTo:ホモ・デウス (上)
- 人文科学:人間の建設
- 人文科学:大空のサムライ (上)
- 人文科学:大空のサムライ (下)
- 人文科学:日本の弓術
- 日本文学:謹訳 平家物語 (一)
- 日本文学:謹訳 平家物語 (二)
- 日本文学:謹訳 平家物語 (三)
- 日本文学:謹訳 平家物語 (四)
- HowTo:父が娘に語る、美しく、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話
- 人文科学:人生論ノート
- 日本文学:夏目漱石全集 (一)
- 日本文学:夏目漱石全集 (二)
ユヴァル・ノア・ハラリさんの『ホモ・デウス』の上巻を読んでいる時に (日本っぽいものが読みたい!)という強烈な衝動に駆られてしまい、『ホモ・デウス』の下巻をすっ飛ばして日本人作家の作品をひたすら読み始めました。
素読用教材に使った『日本の弓術』や散髪の待ち時間に読んだ経済本は外国人が書いた本ですけれども、それ以外は日本人のアイデンティティに迫るような濃厚な作品ばかりでした。
特に『謹訳 平家物語』は無常観を味わえる大変素晴らしい一作で、権勢を誇っていた平氏が滅亡していく様子からは現世の儚さや自分を律することの大切さを学び取ることができます。
私、広島市出身なので、厳島神社にゆかりのある平家にもともと関心があったんですよ。その平家が滅ぶ一部始終を読み、(じゃあどうやってその権勢を誇るに至ったのだろうか?)とそちらの方にも興味が湧いてきた次第です。
神無月(10月):4冊、霜月(11月):7冊



- 日本文学:夏目漱石全集 (三)
- 日本文学:夏目漱石全集 (四)
- 日本文学:夏目漱石全集 (五)
- 人文科学:武士道
- 日本文学:夏目漱石全集 (六)
- 日本文学:夏目漱石全集 (七)
- 日本文学:夏目漱石全集 (八)
- 日本文学:夏目漱石全集 (九)
- 日本文学:夏目漱石全集 (十)
- 人文科学:唐詩選 (上)
- 人文科学:赤と青のガウン
9/19から札幌を離れて10週間のつくば出張に出かけた際、ひょんなことから(『夏目漱石全集』全十巻を読み切ってやろう)と思い立ちました。
週一冊ペースで読めばつくば滞在中に全巻読み切ることができる上、つくば滞在中の孤独感を紛らわすのに全集がピッタリじゃないかと思ったのです。
購入したのはちくま文庫の全集です。文庫本のページ全面びっしりと字が並んでおり、100ページ読むたびに眼精疲労により目のマッサージが必要なほど苦労させられたのを覚えています。
結局ちょうど週一ペースで漱石全集を読み切って、つくば滞在から帰る際、前もって札幌へ送る荷物の中に全集を一緒に詰めて送りました。
漱石の作品では『吾輩は猫である』、『三四郎』、そして未完の大作『明暗』の3つが特に印象に残りました。
猫が世の中を風刺する有様にはつくばエクスプレス乗車中に腹を抱えて笑ってしまいましたし、歳の近い三四郎の迷いっぷり (stray sheepぶり)には首がもげそうなほど頷き共感させられましたし、『明暗』の最終行に書かれたー未完ーの文字には(いったい続きに何を書きたかったのだろうか?)と頭を抱えてしまいました。
おそらく来年の海外留学の際にも『漱石全集』を持って行くことになると思っています。
どうしようもないほど辛い時、漱石の紡いだ言葉が心に染みてみるみるうちに癒してくれるんですよね……
師走(12月):11冊



- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (上)
- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (中)
- 海外文学:カラマーゾフの兄弟 (下)
- HowTo:日本人は論理的でなくていい
- 人文科学:日本の美学
- 海外文学:日の名残り
- HowTo:インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本
- 日本文学:雪
- 人文科学:悲願へ
- 人文科学:根源へ
- 日本文学:原文 平家物語 (一)
師走は沖縄での100kmマラソンに向けて頭を使いまくっており、エネルギーのベクトルを自分の内部へと向けてくれる本を集中的に読んでいました。
特に勉強になったのが執行草舟 (しぎょうそうしゅう)さんの『日本の美学』という一冊で、欲にまみれた現代社会から距離を置き、ひたすら武士道を貫き”良く生きよう”とする姿勢には感服させられてしまいました。
執行さんの考えに共感し、同著者の『悲願へ』と『根源へ』も師走に読破いたしました。
自分は比較的欲の少ない生活をしてきたと今まで考えていたものの、執行さんの本を読むと(甘かったなぁ)と行動の不徹底に頬を赤らめてしまいました。
来年は武士道や禅の思想を理解すべく、山本常朝さんの『葉隠』や鈴木大拙さんの『善と日本文化』にも手を出してみたいと思いました。
やたらめったら手を出していたらどれも理解が曖昧なまま終わってしまいかねませんから、”今月は武士道月間、来月は禅月間”といった風に期分けしてみるつもりです。
最後に、2022年に読んでよかった本ランキングのベスト5についてお話します。
2022年に読んで良かった本ランキングBEST5
・1位 日本文学:平家物語
・2位 海外文学:カラマーゾフの兄弟
・3位 日本文学:夏目漱石全集
・4位 人文科学:日本の美学
・5位 海外文学:アンナ・カレーニナ
この5冊の順位をつけるのはすごく難しいのですが、無理やり順位をつけるならこの形になります。
5位には昨年に引き続き『アンナ・カレーニナ』がランクイン。読めば読むほど(女性の気持ちは分からないなぁ…)と彼女を作る難しさを爆増させてしまう作品です。
4位には師走に読んだ『日本の美学』が入ります。執行さんの思想に強く影響されたので、来年は彼の考えをより深く理解できるよう武士道と禅についてそれぞれ時間をかけて学習していきたいところです。
3位には『夏目漱石全集』が入ります。「どれか一作品を」と言われたら『明暗』かなと思いますが、漱石全集に収録された作品全てが魅力的なので、このランキングでは全集丸々ランクインさせることに決めました。
2位には今年唯一2回読んだ作品である『カラマーゾフの兄弟』が入ります。コレで累計3回読み通したことになるのですが、まだまだ理解がおぼつかないので、今後解説書などを頼りに解読していきたいです。
そして栄えある第1位には『平家物語』がランクインです。現代社会でプレッシャーに押しつぶされず生きていくには無常観を養っていく必要があり、その思想を読みながら自然と学べる情緒あふれる作品でした。
2022年大みそか現在、私は岩波文庫を使用し、平家物語の原文の読破に挑戦しております。
原文からは現代語訳には見られない奥ゆかしさを存分に感じられ、



と想像以上にサクサク読み進められております。
原文の平家物語は全四冊ということで、2023年はまず残り三冊の読破に専念します。
その次は武士道や禅について勉強したり、『カラマーゾフの兄弟』や『戦争と平和』を再度読んだりと大わらわになりそうな予感がします……
以上です。